梨沙ちゃんと聖ちゃん の2

スクルドお姉ちゃん〜!」


梨沙ちゃんと聖ちゃんが遊びに来る。
スクルドは自分がお姉さんと称されるのを嬉しく思ってる。
舞台はいつもの場所、森里家の縁側で。
昨日、近くに住んでいる梨沙ちゃんから連絡があって
ふたりして遊びに行きたいと言って来た。
スクルドとしては姉として、おもてなしをしたいと
実姉のベルダンディーに相談し、お茶とお菓子を用意した。


実はこのふたりの本当のお目当ては、他にある。
スクルドが所有している夥しい数の少女漫画だった。


まるで漫画喫茶? そんな感じも否めないのだが
小さな女の子が自分の事を慕ってくれるのは悪くないと
スクルドはニヤニヤが止まらない。
「これって…いわゆる、ハーレム状態?」
どんなハーレムを想像しているのか、考えたくもないが
楽しそうに準備をしているスクルドは、本当に幸せそうだ。


そして当日。


「こんにちわ〜スクルドお姉ちゃん〜♪」
ふたりはお揃いのコートを羽織ってやって来た。
まるで双子のようだ。
何でも親御さん達が、偶然にも同じデパートで購入して
しまったらしい。
「こんにちは、梨沙ちゃん聖ちゃんっ!」
わぁ、同じ洋装なのねっ…可愛いわぁ〜とスクルドは思う。
「まるで双子のアイドルみたいでしょ?!えへへ〜」
ねー、と言ってお互いの顔を見合わせて笑った。


スクルドに促されて、ふたりは彼女の部屋に案内される。


「おじゃましまーす!わー♪」
たくさんの機械とか、可愛らしいぬいぐるみとか、訳の
分からない物がたくさんある部屋だ。
そしてふたりのお目当ての漫画は、部屋の隅にある本棚に
ある最新号の”どぼん”とか、単行本だった。
「ちょっと待っててねっ お茶持ってくるからねっ」
スクルドは笑顔で言うと、部屋から出て行った。


梨沙ちゃんと聖ちゃんは、お互いの顔を見てクスリと笑う。
「ねぇねぇ…スクルドお姉ちゃんのヒミツ…」
「あっ!この写真でしょ? スクルドお姉ちゃんのカレ?」
「うふふ〜」
「くふふ〜」
ふたりはスクルドの部屋の中、箪笥の上に飾ってある
写真立てを見て、ニヤニヤしていた。
そこには川西仙太郎と、スクルドが笑って写っていて
とても幸せそうだ。
「もっとよく見ようよ〜」と梨沙ちゃんが写真立てに手を
伸ばそうとした時だった。


「おまたせ〜  ん?何しているの…って、ああっ!」
両手でお盆を持っていたので、ただ声を挙げるしかない。
その声を聞いて、さっと手を引っ込める梨沙ちゃん。
「あ、あの…そのぅ… えへへっ」
隠し笑いをした梨沙ちゃんだった。


しまった…この写真は隠しておくべきだった。
後悔しても始まらない、何か…武器は…ではなくてっ!
「あの、あははー! この写真はねぇ…」
どう言おうか思案に暮れている時、聖ちゃんが口を開く。
スクルドお姉ちゃんの…コイビト?」
きょとんとした無垢な瞳を向けて、スクルドに尋ねてくる。


ええぃ…なんて説明したら良いの?


友達以上、恋人未満? えっと…


スクルドお姉ちゃんのカレシなんだよね?」
梨沙ちゃんは、臆面もなく言ってくる。
「カレシ? それってコイビトだよね?」
その話に食い付いてくる聖ちゃん。


とにかく…落ち着けあたし…


額から嫌な汗が滲み出てくるのを悟られまいと、平静を
装ってテーブルにお茶とお菓子を置いた。
「ま、その話は後にして…お茶にしましょうか?」
お菓子で危険を回避出来る…そう考えたのだった。


「わぁーい!」
ふたりは先程の話など忘れてしまったかのように
出されたお茶とお菓子に夢中になる。


作戦は、成功のようだわ…


安堵したスクルドだったが...




梨沙ちゃんと聖ちゃん その2.


by belldan Goddess Life.