アンサー

2月だと言うのに、今日は何だか暖かいな、と
いつものジャンパーを羽織った螢一は思った。
「重ね着しているセーターを脱ぐか…」
このセーター、去年彼女がプレゼントしてくれた物だ。
随分着こんでしまったけど、どこもくたびれてないよ。
彼女、どんな思いでこれを編んだんだろう...


台所で忙しなく仕事中だった彼女に、何だか声が掛けれず
小さく「行って来ます」と言った。
そっと玄関先まで行って、静かに靴を履いて外へ出た。


「そうか、今日はバレンタインだった…」


思えば彼女は、どうしてあんなに頑張ってくれるんだろう。
彼女は女神さまっで、どんな事も難なく出来るだろうに。
そして俺は、彼女に何をしてあげられるだろう。


そして俺は…


頑張っている彼女を、守りたいよな…
いつかこんな事が言える日が来るのだろうか、と思った。
「君の事は、俺がちゃんと守るっ」
日常の事、異世界からの訪問者達、不思議な事件、悲しい別れ
全部あわせて、俺が守る…だなんて…できるかな?とか思う。
「ダメだダメだ、こんな弱気じゃ!」
その時、ふいに風が頬を撫でて行く。この感触は知っている。


期待と不安が、いつも隣り合わせのバレンタイン・ディ。


And you.


by belldan Goddess Life.