なぞの転校生…

ここは、聖鈴学園中等部のある校舎、憂いを帯びた二人は
トボトボと廊下を歩いていた。
放課後、居残りさせられたのであろうか、それとも
何か…事件でもあったのであろうか。
「ねぇ、マリアベルちゃん…」
隣で歩いているカレンが、つぶやいた。
マリアベルは、ずっと前を向いたままで声だけで返事した。
「なぁに?カレンちゃん」


「あの、あのね…あたしたち、負けてないよね?」
「何に?」
「あの、その…あの娘たちに…」
「当然っ!」
「だ、だよね〜」


遡る事、数日。 マリアベルとカレンのクラスに、ある
転校生がやって来た。それも双子だった。
本来、双子同士が同じクラスになる事は少ないのだが
突然の転校により、クラス振り分けが困難になったと言う
事だった。
しかしマリアベルは、そこに悪意、或いは魔属の介入を
感じていた。


断じて引いてはいけない。負けてはならない。
言うなれば、これは聖なる戦いなのである。


しかも、それだけではなかった。学園のアイドルの座を
欲しいままにしていた彼女たちの座が危うくなのもの必至
そこに危惧を抱かないマリアベルではなかったのである。


「今日の所は、戦略的撤退だと言えるわね」
まっすぐ前を見詰めるマルアベルの瞳は燃えていた。
「帰ってすぐに、戦略を練りましょう!」
そう言うとカレンに対して微笑んだ。
「そ、そうだよね! うんっ!戦略だよね〜」
カレンはマリアベルの、その消えていない闘志を見て
思わずガッツポースをしてしまった。


奇襲的戦術に、当局はかなりの苦戦を強いられたが
なぁに、大丈夫さ。こちらには偉大なる戦術家もいる。
「さっそくウルド姉さんに依頼しなきゃ、ね」
ニッコリ笑うマリアベルを見て、カレンはちょっと首を
傾げてしまった。
マリアベルちゃん…それって、何かヤバくはないですか?


「大丈夫だよ〜!カレンちゃんっ!」
「だ、だよね……」


そして戦火は意外な所へと飛び火していくのであった。



マリカレ なぞの転校生(抜粋)


by belldan Goddess Life.


*** *** ***


つい、カッとなって…w