なぞの転校

カレンがそのお方の下へと行っている最中に、マリアベル
また別の事を考えていた。
そもそも…このゲームをウルド姉さまに渡したのは誰なの?…


「はぁはぁ…あの、ベルダンディーさんは居ますか?」
みんなのティールームの前に立ち、中の様子を伺うカレン。
「あら?カレンちゃん?居るわよ〜いらっしゃいな〜♪」
返事があったので、そっと襖を開ける。
でも、どうしてこのような振る舞いをしたかと言うと、それには
避けられない理由があったからだ。
以前、カレンがマリアベル家に遊びに行った時の事である。
マリアベルに頼まれて、みんなのティールームへお茶菓子を取りに
行った際、不用意に襖を開けてしまい。中でキャッキャウフフと
仲睦ましいご夫婦の行為を見てしまったのが、その理由だ。


子供に見せるものではないわよ!と荒ぶる心は隠せないが
仲良きことは良きかな…カレンの両親だって例外じゃなかった。


「どうしたの?カレンちゃん…お歌を歌っていたようだけど…」
後でお茶を持って行こうとしたのだけど、とマリアベルの母は
楽しげに笑った。
「あ、ありがとうございますっ! あ、でも…あの、ちょっと
聞きたい事があって…その、来たんですが…」
「何かしら?」
「あのですね…今の歌、聞きましたよね?それで、何か足りない
ものってあったかなぁ〜なんて…えへへ」
我ながら上手く言えたと感じたカレンだった。
だって、事を正直に伝えちゃったら大事になりそうな予感もするし
それに歌の事だから、きっと「後で私も一緒に…」とか言いそう
だもん。


「そうねぇ…強いてあげれば 思い が篭もってなかった気が…」
ちょっと上を向いて、人差し指を顎に当ててマリアベルの母は
気が付いた事を話した。
「・・・思い ですかっ! 思い ですねっ! 分かりましたっ!」
そう言ってカレンは早々に立ち去ろうとした。
「あ、待って…後で私も…」
ほら、出た…言うと思ったもん。
「あ、今日は二人で…その、練習したいんですっ!ごめんなさいっ」
そう言うとダッシュで踵を返し部屋を出て行くカレンだった。


マリアベルちゃんっ!分かったよー!思いが足りなかったんだ!


でも…


「思いって、何?」
思いを篭めるって、どうすれば良いんだろう…



 なぞの転校生 (抜粋の 8)


by belldan Goddess Life.


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鼻ズビズバー目ショボショボ…モニタが見えません 先生…