君を見守る 蒼い鳥

「あなたは、神を信じますか?」
「え? あ、はい…信じてますが」


午後の渋谷の駅前交差点は、さすがの人でごった返していて
忠犬ハチ公前辺りには、人を待つ姿がかなり居た。
その中に、一際異彩を放つ姿があり、何と言うか渋谷の街並みから
ひどく浮いてる、そんな感じがした。
彼女…流行の格好をした若い女性達とは違う装いが主たる原因だと
思われるのだが、だが、それだけでは無い雰囲気が漂っていた。
清冽な佇まいは、淡いパステルトーンのワン・ピースだからなのか
それにしても一見すると野暮な感じも否めないのだが、その彼女から
漂うオーラとでも言って良いのか、とても神聖な感じがするのだ。


ボクは少し離れた高い所から、それを見続けていた。


「そう!それは素晴らしい」
「ええ、だって私…女神ですもの」
「は?」


その彼女に、いわゆる新興宗教の勧誘らしき人物が近づいて来て
何やら彼女に言っているのが見えた。
彼女、始終にこやかな笑みを持って対峙している。
それに対して勧誘者は、たじろいでいるかのように見えた。


「それは…それは…だったら、ぜひ私たちの教会へ案内させて…」
「あら、ごめんなさい…実は私、人を待っているんです」
「あ…そうですか…」


それから何か会話があったのだが、その勧誘者はスゴスゴと退散して
しまった。
その後、何度か彼女を誘うような感じで、若い男達が話し掛けて
いたみたいだが、それでも彼女は始終笑顔で対話し、やんわりと
断っていたみたいだった。


何度目かの信号が変わり、遠くから乾いた排気音が聞こえてきた。
旧い型のバイクだ。それには側車が付いていた。
彼女はそのバイクを発見すると、右手を挙げて自身の存在を誇示
するのだった。


「螢一さ〜ん!」


その声に誘導されるかのように、ゆるりとスピードを落として
バイクは彼女の前に止まった。


「ごめん、ちょっと遅れた…この先で渋滞に巻き込まれて、さ」
「いいえ、私は大丈夫ですよっ だって…」
「だって?」
「ええ、私の事をずっと見守ってくれた方がいたんですよ」
「へぇ…」
「ありがとうございますっ」
そう言って彼女、少し離れた高い所に居たボクを見詰めて
笑ってくれたんだ。


何だか天にも昇る気持ちって言うのだろうか、ボクはそのまま
翼を広げて、空高く飛んで行った。


 君を見守る 蒼い鳥。


by belldan Goddess Life.



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ま、亜流なんで「ああっ女神さまっ」SS書いても
ごらんの有様だよ...(´・ω・`) 
って言うか、すでに二次創作にもなってねぇ...