恋の必勝講座 2.

「とにかく先手必勝なのよっ!」
物事には、待てば海路の日和ありとか、そんな事もあるけれど
将射んとすればまず馬を射よ、とも言うじゃない?とウルドは
ベルダンディーに力説するのだった。
例えにした言葉が適切かどうかは別として、ウルド姉さん
かなりノリノリなのである。
「先手必勝…ですか…」
物事には起承転結があるが、もちろん何もしなければ、何も
始まる事はないのが真理であるが、それにしてもこの姉妹は
妙な所で似た者同士なのだと思う。


麗しい美貌の女神さまっが、愛する人間の前に
事もあろうかセクシーな下着姿で立ち、先手を狙う事すなわち
将棋に言い換えると、詰みの状態のようなものである。
素直に相手が「ありません…」と言った状況になれば良いのだが
その相手は、かなりの朴念仁だと言う事だ。


その朴念仁が自室で思案に暮れていたその時、麗しい女神
つまりベルダンディーは、姉から託された衣類に着替え中だ。
「まぁ! これは…」
そんな驚きの声を発したのは言うまでもない。
あまりにも大胆な下着姿の自身を鏡に映して、ベルダンディー
赤面してしまった。
これは…付けているのに、まるで隠せていないのね、と彼女は
思った。
しかし元来、女性の衣類って物は、装飾に由るところが多いと
思われる。
実用性なぞ二の次三の次で考えられ、いかに自身を飾り立てる
のか、そこが肝心だと。そう言った意味でもファッションが
女性優先なのは理解できると思われた。
もちろん女神であるベルダンディーにしても、服装には
最新の気を配らせ、あまり過度な物は纏わずに自身に合った物を
選んで身に纏っているのが実情だが、例えば女神の正装として
神衣があるが、神衣に袖を通す際は、しっかりと身を清めて
下着などの類は身に纏わずに、直に袖を通すのだが、見ように
よってはかなり露出度が危険だとも考えられる。
もちろん女神さまっを、あからさまにそんな目で見る無粋な人は
多くないと思うが...。


話を本題に戻すとして、さて、ウルドから託された下着は
いわゆるプレイ下着とも言うべき代物で、肝心の所が隠せなく
なっている始末である。
「このままでは…螢一さんっに何て言われるか・・・」
ただのヘンタイさん、と思われるのは嫌だし、だけど
ちょっと彼の反応も見てみたい気もする彼女であった。


下着姿のままで廊下を歩く事なんて考えられない彼女は
その上から薄いヴェールのような布を纏った。
「これなら…大丈夫、よ、ね?」
半信半疑は否めない。だが先の姉の言葉が妙に心に在って
逸る気持ちは隠せない。
そっと襖を開けて、廊下へ出た。
その後姿、下着も隠せていない薄いヴェールの下には
くっきりと可愛いお尻が見えていた。


女神ウルドの『恋の必勝講座』2.


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まぁいわゆる 暴走 ってヤツ(笑)