恋の必勝講座 4.

「キレイだ…」
その言葉を耳にした時、自然に足が螢一の方へと進む。
薄いヴェールは、そのままベルダンディーのオーラのように
輝いていた。
座っている螢一の傍へ、そっと膝を降ろし目線を同じくすると
その瞳には彼の姿が映し出されていた。


潤んだ瞳、頬を淡く染めている女神さまっの表情を見て
螢一もまた、瞳を逸らす事が出来なくなる。
もっとも、目を逸らすと他の部分が見えてしまうからなのか
大胆なその下着姿、それもかなり、と言うかすごく露出してて
まともに見ていられない、といった感じだろう。


「螢一さんっ…」
ベルダンディーはそっと螢一の首元に腕を回して抱きついた。
そして耳元で、ありがとうございます、と囁くのだった。


首に回された華奢な腕が少し震えている。多分ベルダンディー
も緊張していたんだよな、と螢一は思った。
可愛いな、愛しいよな…と彼の感情は高ぶって、その思いを
自身の腕が自然に表現しようとする。ベルダンディーの背中に
回した腕が、そっと彼女を抱きしめると、ベルダンディー
敏感に感応し、それから螢一にその体を預けるのだった。



一方、ウルドは事の次第を熱心に見詰めて、手に汗握る場面を
これでもか、と言わんばかりに録画していた。
「よっし!そこで押し倒すのよっ!」
「もっとお互いの顔を近づけて! そこでキスよっ!」
そんな事を小声で指示しながら、監督さながらのポーズで。


しかし、ウルドはそこで重要なミスを犯していた事に気がついて
はいない。
それまで、対小姑用結界を施してしたのだが、あまりに夢中で
その結界に、小さな綻びが出来ていた事に気が回らない。
やがて小さな綻びは、結界を決壊させると言うのに。


ほぼ同時にその事に気がついたベルダンディーは、螢一に
「螢一さんっ 姉さんが見てます」
それを聞いて螢一も
「ああ、それは分かっていた」
二人は、どうする?と顔を見合わせ、とにかく穏便に事を
終わらせようと思案する。


「螢一さんっ キスしてください!」
「えっ!」
「はやく!」
「あ、う、うん…」
瞳を閉じてキスを待っているベルダンディーに顔を近づけて
そっと唇を合わせた螢一は、どうしてこの状況で?と思った。


二人の唇が重なると同時に、空間がゆらりと歪んで
薄いヴェールだけを残して、二人の姿を隠した。
無論、そのヴェールの中には二人の残像が残されており
ウルドが気が付くには、数秒は掛かるだろう。


二人は同一時間の異空間へと一旦その身を隠す事になる。
それもキスしたままだ。
どうして?と聞きたいのだが、あいにく螢一も、ベルダンディー
の口も塞がれている。
そんな思いを抱きしめたまま、と言うか二人は抱き合ったまま
まるで空間を浮遊しているようだった。


心の中にベルダンディーの声が聞こえて来た。
螢一さんっ、このまま抱き合ってキスし続けていないと
螢一さんが死にますから…ごめんなさい。
分かったような分からないような、そんな答えに螢一は
心の中で頷いた。
しかし、ずっとここままキスし続けていて、それに彼女は
半裸で、肌の感触とか、色々あって、嬉しいやら辛いやら。
このまま、時が止まれば…なんて言ってられないよな、と
螢一は思う。


着地しますね、と、また心の中にベルダンディーの声が響くと
お寺の境内の中、本堂の裏に姿を現した二人は、名残惜しそうに
その唇を離す。ベルダンディーの頬染める表情を見て
螢一もまた、照れてしまった。
お互いを抱きしめていた腕を解き、安堵の声を掛けようとした時
「あれぇ?螢一?それに…ああああっ!おねーさまっ!」
何で何でそんな格好なのよー!コラー!螢一っ!あんたまさか
何かしたんじゃないの!、とスクルドの怒号が響く。


慌てた螢一は、自分が着ていたジャケットを脱いで彼女に
着せようとするが、ベルダンディーも慌てたのか、法術を
展開させようとしてた所で、螢一の腕が来たものだから
止めようにも、それが出来ずに、またしても二人は抱き合って
転んでしまうと言う展開になってしまう。
「きゃ」
「わわわっ」


その姿を見てスクルドの怒りの炎はマックスとなり、胸元から
多数のボムを取り出した。
「このぉー!許せないんだからー!」


危うし!恋人たち!(笑)


ウルドの「恋の必勝講座」 4.


by belldan Goddess Life.


*** *** ***


ついに!と言うか、グダグダな展開に(トホホ)
そして今回はここまで、と言う事で。
続きはWEBで!(って、ここがそうじゃん...)