夢見る…

夢見る少女は、いつだってお姫さまっに変身して
風のあるバルコニーから身を乗り出して、王子さまを待っている。
風が吹いてスカートが捲れ上がってパンツが見えても気にしない。
もしかしたらそれがきっかけになるかもしれない、とか。
もしかしたらそれがスタートの合図かもしれない、とか。
欄干に頬杖付いて、ぼんやりと沈む夕日を見つめていた。
ドレスの裾が広がるように、少女の妄想も広がって、いつしか夜になった。


天幕付きのフカフカのベットに仰向けなって、いつか王子さまが来ると
思いを馳せる。或いは念じる。或いは祈祷する。そして祈るのだった。


風の強い日を待って、思いをしたためた手紙を飛ばすとか。
潮の流れの良い日を待って、小さな小船に手紙を航海させるとか。
とどのつまり、彼女には未だお相手がいないって事だ。
花も恥らう年頃の乙女としては、甚だ遺憾であり、迅速に解決すべき事柄
なのは明白であり、今直ぐにでも馬を奔らるべき問題あった。


「くすん…あたしってば、そんなに魅力がない?」
自画自賛、そして自己卑下あるいは自暴自棄とか、垂直に上がるか下がる
そんな急速な運動を繰り返しながら時間毎ワープ走行している少女の心は
言うなれば異次元旅行者とも言えた。
伽藍とした部屋の中は、少女の求めるものは無いと感じた。
「あたし、行かなきゃ!」
それはいったいどこへ?そして何を求めて?
「自分の夢(王子さま)は、自分で見つけなきゃ!」



月間少女コミック「どぼん」から ”夢見るジュリエット”抜粋。



「は〜ステキねぇ...」
毎月恒例の月刊誌を読みながら溜息を付くのはスクルドだった。
自室に篭ってひたすら読み返して、その姿はまるで現在のニートのようだ。
畳の上、ごろんと仰向けになり天井を見詰める。漫画の中の舞台なら
天幕付きの豪華ベットなのだが、森里家ではそうはいかない。
「あ〜あ…何だか所帯染みてるって感じ...」
それでもスクルドの妄想は、そんな現実でさえ凌駕する力を持っていた。
それは彼女、スクルドは未来を司る時の守護神なのだからだ。


だからと言って、ものすげー力があるはずも無く、淡々と時間は径行して
時の流れの雄大さを知る由もない。
スクルドが力を発揮できるのは、彼女が一級神の昇格してからなのだ。


それなのに早合点はウルドと双璧をなすくらいなので、思わず出た言葉は
「あたしも、行かなきゃ!」
であった。 それはどこへ? ああ、いつもの河川敷か。
「自分の未来(仙太郎君か?)は、自分で見つけなきゃ!」


ばんぺい君RXを呼び寄せ、バイクモードに変換して家を飛び出した。



夢見るジュリエット/夢見る未来の女神さまっ


by belldan Goddess Life.


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そしてこのブログ、こんなんで良かったら更新しますので(陳謝)