猫の祭典とか。

ルナ&リナ シリーズ 「猫の祭典」


アタシ、藤本ルナは迷っている。
もちろん小学生じゃないんだから、道に迷っている訳じゃない。
れっきとした高校生、花も恥らうお年頃の女子高生なのだ。
こんな事を自慢している場合じゃない。現在アタシは、自分の居る
場所が分からない。と言うか、それって高確率で迷子じゃんって
言う突っ込みは、この際却下する。


目の前に、とても可愛い男の子が居る。
そしてアタシの方を見て、微笑んで手招きしている。
アタシに弟がいたら、きっとこんな感じなのかな?とか、
どちらかと言えば、最近流行の草食系男子って雰囲気だ。
アタシは声を掛ける。「アナタはだぁれ?」
男の子は切れ長の目を細めて微笑み、手招きを繰り返すだけだ。
そして礼儀正しくお辞儀をした。燕尾服が似合う男の子。



「ルナー!早く起きなさいよー!」
自室の中は、蕩ける様な気温に恵まれてアタシは汗まみれだった。
きっと亜熱帯の国に住んでいる人って、朝はいつもこんな感じで
起きるんだろうなと、考える。
「ふぁーい…起きますよぉ...」
もそもそと布団をめくって起き出そうとしたその時「にゃん」と
猫の鳴き声がした。
「えっ?あっ…そうだった。おはよう、ネコくん!」
「にゃお!」
モノトーンと言うべきか、白黒の猫は礼儀正しく座り直して
ルナを見詰める。そしてもう一度「にゃお」と返事した。


モコモコの毛皮を纏った猫って、どう考えてもこの季節は暑い
だろうなと思う。それにしたって、この子はなんでこうも涼しげ
なんだろう?
「不思議だよねぇ」思わず声に出た。


不思議と言えば、この猫だ。いつぞや下校最中にひょっこりと
アタシ達の後をつけて来た。アタシは多分リナの御使いなんだと
面白がって彼女に言ったら「それは違うわ。ルナのでしょ?」と
答えが返って来た。
だからアタシ、面白ついでにお家へ招待したって訳なんだ。
不思議と言えば、お母さんの反対も無く「了承」と一言だけだ。
すんなりと決まってしまって、ちょっと拍子抜けしちゃったのを
覚えてる。


夏休みがもう少しで始まる。平凡な夏の日だった。



猫の祭典  続く(きっと)


by belldan Goddess Life.


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原作原案 R-STYLE らりおかまじ子さん。(猫好き)


夏が終わるまでに何とかひとつの話にしたい(祈願)