午後のお茶を

ぼんやりとTVを見ていた午後。
プライムタイムのニュースとかで、政治の話が行われていた。
ホント、何が何だか分からないってのが実の心境なんだが
そうは言ってもいられないって感じもする。
気がつけば、身を乗り出してモニターに見入る俺を、不思議に
思ったのか、ベルダンディーが話し掛けてきた。
「螢一さんっ?面白いお話でもしているんですか?」
ベルダンディーにしてみれば、熱心にTVを見ている俺は
さながら玩具に夢中になっている子供の様に見えたかもしれない。


「うん、あのね、この国の政治が変わるんだそうだよ」
「…それはもしかして、革命ってものでしょうか?」
「革命…そうだな、言葉を変えるとそうなるかもしれないな」
はい、螢一さんっ。と、ベルダンディーは俺の元へ湯飲みを出す。
食後のお茶だ。彼女の淹れるお茶は、非常に美味い。
「ありがとう」と言って、一口飲んだ。
この香り、そして食後の幸せなひと時に『革命』だなんて
ちょっと無粋過ぎないか?と俺は思った。


それとも…俺たちが単に平和ボケしているだけなんだろうか。


例えば、自由と平等のどちらかを選べと言われたら、その時俺は
どちらを選択するんだろうか。
世の中には二律背反するような矛盾が、それこそバーゲンセール
の如く溢れ返っているような気がする。
そして究極の選択を迫られた時、それを選ぶ勇気が俺にはあるか
どうかも疑わしい。


いや、待てよ…以前セレスティンが天上界に対して行った行為は
ある意味で革命だったよな?
それは失敗に終わったが、もしかしたら、天上界にもそうした事
が以前からあったかもしれない。
あの時、ベルダンディー達は地上界の自由を守る為に戦った。


だとすると...


「ねぇ、ベルダンディー 天上界には政権とかあるの?」
「政権ですか…良く分からないですが、全てを統べる存在が神様
なので、神様が政権なのでしょうか」
「なるほど…」
「螢一さんっ、そのような存在になりたいのですか?」
「あ、そんな積もりで聞いたんじゃないよ」


そうですか。とベルダンディーは微笑んだ。それから
「あの、私は、もし、螢一さんっがそうなりたいのなら…」
「ちょ、ちょっと待って! ダメだよ!」
「ダメでしょうか?」
「うん、無理だって」
「無理…理由が無い、と言う訳なんですね」
「あ、あの…」
「私には理由がありますもの…だって螢一さんっは、私の…」


ちょうどその時、ウルド達が乱入して来た。
その先の言葉は聞き取れなかったけれど、それはきっと聞く必要
が無いって事なのかな、と思った。今は、だけど、さ。


 食後のお茶を。


by belldan Goddess Life.


*** *** ***


もし女神さまっ達が作るのなら「女神党」なんだろうか。
無難すぎて涙が出ちゃうヨ...
或いは「ユグドラシル党」って…意味不明か。
そうだな…「幸福女神党」って…(笑)←笑う所じゃない。