コイバナ

とある作戦会議室で、将校ふたりが何やら画策している。
ヒトヨンサンマル、そう三時少し前の話だ。


「名付けて ”包囲殲滅作戦” よねっ!」
「だよね…って言うか、有りのままじゃない?」
「う〜ん…もっと、こう、オシャレな呼び名って無いかな?」
「そうだよねぇ…だって、私達、中学生だもんね!」


中学生だったのかっ!将校って言うんで、てっきり…


それはともかく、
小高い丘のお寺のそばにある母屋の、ある部屋で
女子中学生が遊んでいる、と言う訳だった。
その遊びが、作戦会議。しかも軍隊方式の。いったい誰の
影響なんだと頭を抱えてしまう。


「マリアベル?居るの?」
そういった事を影響した人物の登場である。
「あっ!スクルドおね〜ちゃん!居るよ〜!」
スッと襖が開くと、これからお出掛けなのだろうか、ちょっと
お洒落したスクルドがそこに立っている。
手にはお茶とスコーンを置いたトレーがあった。
「あ、これ、ベルダンディー姉さまから」


時刻はちょうど三時だった。実にタイミングが良い。


「わぁー! ねぇねぇカレンちゃん、お茶にしよう!」
スクルドから受け取ったトレーの上には、こんがり焼かれた
スコーンと、ほんわり香る紅茶があった。
きつね色したスコーンと白いホイップクリームって、何だか
相性が良いよね、だなんて言ったりして。


「じゃ、アタシはこれで…」
スクルドは踵を返した。
「いってらっしゃーい!仙太郎お兄ちゃんにもヨロシク!」
「はいはい…言っておきますわよっ」
この頃、こんな風に囃し立ててもビクリともしないスクルド


スコーンにクリームを塗り付けて、お口一杯に頬張りながら
話がコイバナに発展して行くのは、古今東西、女子の定番か。
「で、スクルド姉さまと仙太郎お兄ちゃんはどこまで?」
カレンは学者風に尋ねてみる。
「うむうむ、それはきっとキスまで…かな?なんて!!」
キャー!!と笑い転げるふたりであった。


でも、キスってどんなのだろう?
フワフワの、例えばこんなホイップクリームみたいな?
唇に付いたクリームを指ですくって舐めてみた。
「あー!マリアベルちゃん、今キスってどんな風?とか思って
いたでしょう!」
「うむ、肯定である…なんちゃって!」
ゲラゲラと笑いが絶えないふたりであった。


「でも…どんなのかな?」
「うん、だよね…知りたい?」
「うん、ちょっと怖いかも」
「…だよね」


恋に恋する乙女の思いは、いつだって未知数で
だから毎日がドキドキの連続だって事なんだ。


いつかきっと…


コイバナ。


by belldan Goddess Life.


*** *** ***


って言うか、作戦会議とか、忘れたー!
それに例の件を聞くのも忘れらー!(失礼、かみまみた)