Christmastime in blue.

「ええっ〜!マジで?」
「そうよ、だって猫実商店街のポスターに書いてあるわよ」


とある小高い丘にある、他力本願寺の横、その母屋の中で
ひときわ甲高い声が炸裂した。
「ウ、ウルド…それって、ホントにホントなの!?」
「ええ、本当よスクルド…それに、あたしはウソは申しません」
って、いつもいつもウソっばっかり付いているウルドの言う事
なんか、誰が信用するもんですか!、とスクルドは訝った。


「百聞は一見にしかず、って言うじゃない?見てくれば?」
ウルドはしたり顔で、スクルドに告げるのだった。
「ううぅ…見てくるっ!!」
そう言って踵を返し、ウルドの部屋から出て行くスクルドだった。


絶対ウソよっ! いや…待てよ、もしかしたら孔明の罠…では
なくて、ウルドの画策なのかもしれない。
とにかく、この目で確かめなくちゃ、とスクルドはお姉さまから
頂いた、ピンク色のコートに袖を通して出掛ける仕度をする。
「ばんぺい君〜!お願いねっ!」
ばんぺい君RXを自走モードに変更、バイクのようなスタイルに
なる。


それに跨って、いざ行かん!猫実商店街へ!


慌しく出掛けた末娘を、ぼんやりと見送りながらウルドは
「…本当に書いてあったんだけどねぇ…」
と苦笑交じりでつぶやいた。




 ああっ女神さまっ 「クリスマスは中止なのっ?!」



猫実商店街では、毎年恒例のクリスマスイベントがある。
軒並みクリアランスセールで賑わう、装飾された店並みは
ご近所さんの憩いの一時を提供もしていた。
スクルド御用達のアイスクリーム屋さんの店主も、この日は
サンタさんのコスプレで、子供達をもてなすのだった。
「は〜い、サンサのおじさんだよ〜」
そう言っては始終にこやかな笑顔を振りましていた。


「ばーか!サンタなんて、ホントに居る訳ないじゃん!」
近くの小学生達は、そんな事を言って囃し立てるが、店主は
一向に気にもしない。


みんなが楽しく過ごせれば、それで良い。


そんな気持ちが、商店会の気風だったんだろう。


だった…と過去形で書いたのは言うまでもない。ウルドが見た、
と言うポスターには、こんな文章が載せてあった。


”今年のクリスマスは中止します。猫実商店会。”


お寺から一目散に駆け付けたスクルドの目には、まごう事なき
ポスターの文章が目に入ってくる。
「ウ、ウソ…なんで?」
簡素なポスターと同じ位の簡素な街並みが、とても切なくて
何だか悲しくなって来るスクルドだった。


簡素…と言うか、何時もの街並みなんだけどね。


ごく普通、何処にでもある師走の商店街の喧騒はあっても、
クリスマスの…あるいは、それらしい装飾は皆無だった。


「ウソ…だよね?」


そんな現実を見ても、それを否定しざるを得ないスクルド
クリスマスイヴの日に、大好きな仙太郎君と一緒に
商店街をデートしたり、プレゼント交換したりと、楽しみに
していた事があった。
無論、スクルドの作戦は完璧だった。


それなのに…


「ウソ…だよね!!」
誰か、あたしに、コレハウソデスヨ、と言ってよ!


途方に暮れる時の守護神、女神さまっの末娘は、ばんぺい君RX
に跨ったまま、ぼんやりと猫実商店街を見詰めていた。



Christmastime in blue.(仮題)


by belldan Goddess Life.


*** *** ***

どうなるんだ!と言うか、どうするんだ?ワタシ…
この先、ホントに書くんだろうか…