下の続きとか。
「…と、そんな夢を見たんだそうだ」
「まぁ…」
みんなのティールーム。その隅に三角座りをして暗くなってる
スクルドの様相を、心配そうに見詰めるベルダンディーは、
螢一に言う。
「それで…その後、どうしたんですか?」
「ああ、話せば長くなるけど…聞く?」
ああっ女神さまっ「クリスマスは中止なの?!」 2話
スクルドが見た夢。それは彼女にとって、もっとも恐れていた
ものであったのは間違いない。
クリスマスはおろか、デートする相手である、川西仙太郎も
「へっ? えっと…誰?」と、スクルドを見知らぬ誰かのように
遠慮気味で接してくる始末で。
「えっ? あ、あれ?アタシだよ?仙太郎君っ!」
「…仙ちゃん、知ってる娘?」
仙太郎の傍にいた、小さな女の子が不思議そうに尋ねる。
「ううん…知らない、と思う…」
本当に知らないんだ。
悲しくなって、何も言わずにその場を離れた。
もう辺りは夕暮れ時で、本当ならクリスマスの装飾をした街を
仙太郎君とふたりで仲良く歩いていた筈なんだ。
それなのに、今は河川敷にひとりでいる。
「仙太郎君の…ばか...」
*** *** ***
「って、まぁ…その時、俺に出会った、と言うんだよ」
「まぁ…それって、夢の中ですよね?」
「ああ、そうなんだ。俺自身、まったく記憶に無いんだけど」
「あらあら…」
螢一の話を聞きながら、そっとスクルドの方を見詰める。
その瞳には、愛しい者を見る気持ちと、少しだけ嫉妬心があった。
私…私も、夢の中で螢一さんっと会いたい…
そして、優しく慰めて頂くの…
そっと彼が私の肩に手をやって、そして…
あらあら、イヤだわっ 私ったら…
そんな事を思っていると、実に表情に表れてくる。
ほのかに赤くなった頬を、両手で隠した。
*** *** ***
「何しているんだ?スクルド」
河川敷で呆けているスクルドに声をかけて来たのが螢一だ。
「スクルド? あの…本当にどうしたの?」
声をかけても返事もしない最愛の女性の妹を心配して
「だ、誰かに泣かされたのか! はっ、そんな事は…」
そんな事は無いか、と半分苦笑しながら螢一は言った。
「け〜いち…クリスマスが中止って本当なの?」
涙声でスクルドは、螢一に訴えるのだった。
クリスマスが中止って!何それ?
現に俺は先輩達の御用達として、今までこき使われたんだぞ。
いや…待てよ。 心当たりがある!
「犯人は、オマエだぁー!!!!」
*** *** ***
「で、俺がそう叫んだ所で目が覚めたって言うんだ」
「あら〜」
「それから飛び起きて、俺の元へ一目散にやって来て…」
「あらあら」
「それで…ご覧のとおりなんだ」
「あら〜まぁ…」
ベルダンディーと螢一は、お互いの顔を見詰めて、笑った。
何て可愛いんでしょう、とベルダンディーは思う。
やっぱり、まだまだ子供なんだよね、と螢一は思った。
でも、私の 俺の…大切な家族なんだから。
*** *** ***
「それで…犯人さんって?」
「ああ、それなら簡単だよっ」
「誰ですか?」
「それは…これを書いてるヤツのせいだ!!」
「本当ですか?! 螢一さんっ」
「それってマジなの? ケーイチ」
「ふふふ…じつはとっくに気がついていたわよ〜」
ウルドが腕組をして、みんなのティールームに現れた。
「大丈夫よぉ〜アタシが何とかして置いてア・ゲ・ル!」
*** *** ***
それも嫌な予感がするのだが…
こうして森里家は、何時も通りのホンワリとした世界を取り戻した。
この世にクリスマスが中止なんてアリマセンものね。
あるとすれば…それは誰かの画策ナンデスネ。
Christmastime in blue.(仮題) 終わり。
by belldan Goddess Life.
*** *** ***
ワタシ「ゴメンナサイ…モウシマセン…」
て言うか…二段夢オチ?