節分だね

先日、ベルダンディーと猫実商店街に買い物に出掛けた時の事。
ガチャポンが店先に並んであるお店があった。
玩具屋さんである。
普段は目にも留まらないのだが、ベルダンディーが、ふいに
尋ねて来た。
「螢一さんっ?あれは、何でしょうか?」
数台が重ねて設置しており、何だか楽しそうな雰囲気だ。
「あれは・・・何と言うか、ゲームみたいなものなんだ」
ガチャポンだよ、と説明するが、不思議そうな顔をしていた。
「そう、なんですか・・・でもっ面白そうですっ」
ベルダンディーくるりと螢一の正面に回り、嬉しそうに笑う。


その笑顔が堪らない。


そうだ、ちょっとやってみようか。
子供の頃やった事があるだけで、昔と今とじゃ仕様も違って
いるかもしれない、と思い、機械を覗いて見る。
うん、大丈夫だ。何も変わらない。
ベルダンディーちょっと、やってみる?」
「ええっ!良いのですかっ?!」
「うん、はいこれ」
そう言って数枚のコインを手渡し、使い方を教えた。


慣れない手付きでガチャポンにコインを入れ、螢一に言われた
通りにハンドルを回す。
コトン、と音がして、機械の下部からプラスチックのボールが
飛び出て来た。
「わぁ〜」
「何が出てきたの?」
「螢一さんっ!ほらっ!妖精さんっですよー!」
「えっ?」


本来、ガチャポンの中には、ゴム製の玩具が入っているはず。
ボールの中に居るのは動かないのフィギュアーだ。
だが・・・


半透明のボールの中で、明らかにこちらに向かって手を振る
存在が在った。


「まさか・・・!? 君の魔法・・・なの?」
「違います・・・でも、不思議ですねぇ、こんな所に妖精さんが」
そう言いながらベルダンディーはボールに耳を寄せて
妖精の言葉に耳を傾けていた。


「螢一さんっ、この子・・・元の世界へ返してあげたいのですが」


話はこうだ。
何か知らないけど、気が付けばガチャポンの中にいた、と
妖精は言っているらしい。
どうしようかな、と思案している所に女神さまっと遭遇した、
と言う次第だった。


ベルダンディーは短い高速言語を唱和すると、両手にボールを
持って天に掲げた。
すると一瞬にして中に居た妖精が消えてしまって、中身は消えて
しまった・・・と思いきや、何故だかカピバラさんに変身している。


「わぁ〜可愛い〜」
ベルダンディーは嬉しそうに笑う。
「きっと妖精さんの贈り物なんですよっ!」


カピバラさんはキーホルダーになって、今はベルダンディー
持つ家の鍵が付いている。


女神とカピバラさんと妖精と俺。


 by belldan Goddess Life.


*** *** ***


日常にあるエピソード。普通の出来事(女神にとっては)
今日は節分。兄は外〜腹話術〜。


「何が『アニは外〜腹話術〜』なのよー!」
スクルドはご立腹らしい。
「そうよぅ・・・アタシのお酒は?」
腰に手を当てて、眼下の螢一を睨んでいる。
「あら?そう言えば・・・今日は”節分”って行事だったのね」
ベルダンディーは、思い出してポンと掌をたたく。
「ホントだ・・・恵方巻きを買うのを忘れたヨ」
螢一は、苦笑した。


楽しい森里家でした。(サザエさん的意味で)