スクルドって

「まったく!螢一は、まったく!!」


先日の玄関先の事件から数日、スクルドは事の次第を後で聞くと言う
羽目になるのだった。
「なんでその時にアタシが居ないのよっ!」
いたら絶対阻止してやったのに!アタシの大事なおねえさまっに
何て事を仕出かしてくれたのかしら!
と、スクルドの怒りは収まらなかった。


後で絶対仕返ししてやるんだからっ!と息巻いていたのだが、
何やら気になるアイテムの事で、それは実現しなかった。


猫耳?」
「そう、これが、そのカチューシャなのよね〜」
「ふぅん・・・」
「気になる?気になるんでしょ!」
「べ、別に・・・気になんか・・・」
「ふ〜ん・・・これを付けて、仙太郎君に迫ったら、どうなるか・・・」
「!・・・」
「どうする?」
「・・・ちょっと借りてあげてもいいわよっ さ、参考によっ!」
「参考ねぇ・・・(何の参考なんだか・・・)」


それから数日経って、スクルドは仙太郎君と会う約束をした。


「ね、ねぇ?に、似合ってるかな?」
スクルドは縁側で暇そうにしているヴェルスパーに尋ねる。
「何で聞くかな?猫のオレに・・・」
ヴェルスパーは、ハァと溜息を付いた。
「だ、だって、おねえさま達に聞くの、恥ずかしいじゃない!」
猫耳付けているし、猫だから聞いても良いのか?とヴェルスパーは
頭を抱えるのだった。
「ま、いいんじゃないの?流行ってるし・・・」
曖昧な返事をするヴェルスパーだった。
「えっ!?流行ってるの!」
「あ・・・うん、猫的には・・・(って、猫は猫耳じゃん!)」
「ふぅん・・・そうかぁ・・・」
満更でも無いスクルドだった。


うん、流行ってるなら、良いよね。ちゃんと理由があるんだもん。
スクルドはそう自分に言い聞かせて、ウキウキと出掛けるのだった。


何時もの河川敷に着いたスクルド、辺りをキョロキョロと見渡して
仙太郎君を探す。
「まだ、なんだ・・・」
気が急いたもので、ちょっと早く着過ぎたかなぁ、と思った。
川面を渡る風が、火照った頬を撫でて行く。
ちょっと気持ち良いかも、とスクルドは微笑むのだった。


スクルドー!早かったんだねー! あー!!」
仙太郎君が、自転車で駆けて来た。
「わー!何それ!可愛いじゃん!へー!すげー!可愛いっ!」
「えっ?えっ? 可愛い?ホント?可愛い?」
「うんうん!とっても似合ってる!それって猫耳って言うんだねっ」
「あ、うん・・・そうみたい・・・」
仙太郎君からの、可愛い可愛いの連発を浴びて、気絶しそうな
スクルドだったが、何とか踏ん張った。


「ね?ちょっとボクも付けて良いかな?」
「あ、うん・・・(あれ?)」
「へぇ〜こんな感じになってるんだ・・・へぇ・・・」
そう言って、自分の頭にスポンと付けた仙太郎君だった。
「どう?似合う?猫みたい?にゃーんってねっ!」


あれ?以外に可愛い・・・そう思うスクルドだった。


「にゃーん!ボクは子猫にゃん!甘えても良いかにゃーん!」
仙太郎君は、そう言うとゴロゴロとスクルドの膝に抱き付いた。
「うそっ!・・・(でも、ホント可愛いっ!)」
仙太郎君にいきなり膝を抱えられた格好になったものだから、二人は
そのまま河川敷の土手に座る格好になった。
そして、仙太郎君は、スクルドの膝の上に頭を置いて
「にゃーんにゃーん」と甘声を出すのだった。


その時、スクルドの中の妙なスイッチが入った。


「はーい、可愛い猫ちゃんでしゅねー ゴロゴロ〜」
仙太郎君の顎をゴロゴロと撫でていた。


でも、あれ? 何かちょっと違うかも?


 女神さまっの猫耳モードでスクルドも。


by belldan Goddess Life.


*** *** ***


その後、とってもウキウキして帰宅したスクルド
どうやら参考にはなった、らしい・・・のか?