天上界の恋人3.

天上界の恋人3.


「まぁ!螢一さんっのお友達だったのねっ!」
ベルダンディーは嬉々として言った。


まぁ何か違うような気もするが、それはそれで良いかと、バルド
は事が運ぶ事に同意する。しかし、何で子供の姿で顕現したのか、
甚だ疑問に思う訳だが、これと言って困る事は無く、むしろ
好都合だと思えた。


ベルダンディーに促され、螢一の部屋まで案内され、中に通され
現在に至る訳だが・・・。


「所で・・・君は誰かな?」
座り机に座って何やら作業をしていた森里螢一は、くるりと姿勢
を此方に回してバルドに尋ねた。
「あら?螢一さんっのお友達では?天上界から来たんですよ」と
ベルダンディーは説明をしてくれた。
お客さまにお茶を淹れて来ますね、とベルダンディーは部屋を
退場し、螢一の部屋には彼と、そしてバルドの二人きりとなる。


友人と言われて思案に暮れる螢一だが、本当に天上界に友人が
居るとは到底思えない。もしかしたら、マーラー達魔属の画策か、
と訝るのだった。
バルドは、殺風景で乱雑な人間界の男性の部屋が珍しいのか、
始終あちこちを観察していた。
その動作を見て溜息を付きながらも、今日はどんな用事なのか、
バルドに向かって螢一は質問を試みる。
「えっと・・・君の名前は・・・?」


「人に尋ねる前に、まず自身を語るのが筋だと思わないかね」
急に大人びた声色に変わったバルドは
「そう思わないかね、森里君」と続けて述べた。


名前を述べよって言ってるけど、もう知っているじゃないか、と
螢一は苦笑するのだが、相手の姿は小さな子供なので
「ああ、ごめん・・・そう、俺は森里螢一って言うんだ。君は?」
と優しげに言い直して見た。
「わたしか?わたしの名を聞くとは恐れ多い人間だな。森里」
聞けって言ったのは君の方じゃないか?と思う螢一だったが、
相手は子供なんだ、と自分に言い聞かせて
「すみません・・・恐れ多くて・・・あの、名前を伺いたいのですが」
と、ばか丁寧に質問を続けた。


「知りたいか、なら教えてやろう、わたしはバルド神と言う」
小さく顕現した体を目一杯大きく見せようと胸を張り、バルドは
自信たっぷりに云った。


バルド・・・ウルド・・・似ているな、と螢一は考える。
いや待て・・・バカなウルドって事なのだろうか、足して2で割る、
そんな感じなのか。いやいや、待て待て、これはウルドの画策とは
違うような気がする。いかにウルドとて、自分の事をバカ呼ばわり
される・・・してしまう様なバカな事はしないだろう。


「バルド神と申しますか・・・」
とにかく事を穏便に済ませようと、螢一はなるべく丁寧に接しよう
と試みた。
「人間!頭が高いのではないか!」
バルドは威厳を保とうと声高に云う。
「はぁ・・・」
仕方ないので螢一は正座して頭を垂れるような格好を取った。
「あの・・・バルド神・・・今日はどんな用件で・・・」
螢一はさらに質問を続ける。


「聞きたいか、ならば教えてやろう」バルドはそう云うと
天上界に居るペイオースの事に付いて尋ねたいと言って来た。
「えっ?俺にですか?」
「そうだ」


と言うか、教えてやろう、ではなくて、教えてほしい、の間違い
ではないですか?と螢一はバルドに言いたかったのだが、敢えて
聞くのを止めた。面倒くさそうだったから。



by belldan Goddess Life.


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コイバナは?ねぇ、コイバナは?