天上界の恋人4.

天上界の恋人4.


「ペイオースは貴様にとって、どんな存在なのだ?」


いきなり高飛車な質問だ、と螢一は思った。バルドと言う少年は
堂々としているのだが、その風貌から見ると、かなり無理している
ような気もしてくる。ポリポリと頭を掻いて質問の意図を探ろうと
する螢一だったが、何も見えてこない。
「どんな存在だと言われても・・・」
言える事は多分、俺にとっては、とってもややこしい存在だとしか
言いようがないな、と螢一は考えた。しかし、そんな事は言えない
多分、そんな事を言ってしまったら、話が俄然ややこしくなる。


「ペイオースは・・・女神で、ベルダンディーの友人で・・・」
「そんな事は分かっている!」
「あと・・・長い間、家にバカンスだと言って滞在してた・・・」
「それも知っているわ!」
「ええと・・・一体何を聞きたいんですか?」


少しの沈黙、それはほんの数秒の事だったのだが、えらく長く
感じた。まるで創造者が世界を構築する寸前のようで。


「・・・お前は、その・・・ペイオースと付き合っていたの、か?」
「はぁ?」
「真剣に聞いているんだっ!正直に言ってくれ!」
少年の頬が真っ赤になって硬直している。多分、真剣なんだ。
「あの、俺はペイオースとは契約してません、が?」
もしかしたら、契約の重複の件について言及しに来たのでは、と
螢一は考える。突然の来訪者、それも天上界から使者だとすれば、
それで合点が行く。


「ち、違うわー!契約なんぞ知らんわー!」
どうしてだか涙目になっているバルドだった。
「わたしが聞きたいのは・・・その、あの・・・」
かなりの雨量が下瞼に溢れ出そうとしていた。


「螢一さんっ お茶とお菓子を用意して・・・あら?」
ナイスタイミングでベルダンディーが部屋に入って来る。
しかし、この状況下だ。涙目の少年を前に俺は何をしているだ、と
自問してみた。
「フォルセ・・・どうして泣いて・・・まさか螢一さんっが・・・」
ベルダンディーはちょっと困った顔を螢一に向けた。
と言うか、フォルセって言ったよね?今・・・あれ?確か名前は、
バルドだと言ってたよね?
「いやいや!俺は何も・・・って言うか、さっき聞いた名前と違う」
螢一は、バ・・・と言った所で、急にバルドが
「わーわー!わーん!」と大声で泣き出した。


「あらあら、困ったわねぇ・・・どうしたの?」
ベルダンディーはバルドの元へと駆け寄り、その胸に抱き寄せた。
「螢一さんっが困らせたの?」そう言ってバルドの頭を
ヨシヨシと撫でながら、俺の方を悲しげに見つめた。


断じて違う!神に誓って!


と言うか、お二人とも神さまっだったよね・・・


「たはは・・・」苦笑する螢一。
「後でお話があります、螢一さんっ」
凛とした瞳でベルダンディーは、螢一を見据えた。


by belldan Goddess Life.



あれ?ベルダンディーのお説教勃発?!
むしろご褒美?