天上界の恋人5.

天上界の恋人5.


「どうやら眠ってしまったみたいです・・・」
螢一の部屋の襖を閉めて、ベルダンディーと螢一は、小声で話しを
していた。
バルドは先程の喧騒の中で、自身の体力を奪う位に泣き伏せた。
その結果、寝入ってしまった訳だ。
「そうなのか・・・それは良かった」
本当に良かったのかどうか、それは分からないが、しかし現状を
鑑みて、少しは事無きを得たと言っても良いだろうと螢一は思う。
それに、先程のベルダンディーからの説教もあった事だし、今は
静かな時間、そう、考える時間が欲しいと願う螢一だった。
「でも・・・可愛い寝顔でした・・・本当に」
とても嬉しそうに呟くベルダンディーは、螢一に
「ねぇ、螢一さんっ?螢一さんだったら、男の子、それとも・・・
女の子が良いですか?」
「えっ?あっと・・・何の話なのかな?」
螢一は惚けた。さすがに先程のお説教の続きは、ここで話するべき
ではないと判断した。
「・・・私は・・・螢一さんっに似た男の子が良いと思いますっ」
ベルダンディーの瞳には、きっと将来の二人の姿が映っていて、
まるで憧れを胸に抱いた乙女そのものであった。
「あ、でも・・・女の子も可愛いですよねっ」
大勢いると楽しいですもの、と嬉しそうなベルダンディーだった。


天上界の神々ってのは、どうしてこう・・・人の話を聞かないのか?
そんな事を思いながら、泣き疲れて寝てしまったバルドの事を
思い出した。あの小さな男の子は、ペイオースの一体何なのだ?
まさか・・・ペイオースの隠し子とか?そんな訳無いか。でも・・・
有り得るかも。だって相手は天上界の神々なんだ。
そんな事を思いながら、ちょっと曖昧にベルダンディーに受け答え
をした螢一だった。


「君の子なら、どちらでも可愛いよ・・・」


ベルダンディーは「螢一さんっ」と甘え声で呼び、そっと螢一の
背中に体を寄せた。そして「大好きっ」と耳元で囁いた。
そのままの体勢で、何となくぎこちなく寄り添いながら、二人は
みんなのティールームまで向かう。
本日、やっと休憩が出来ると思うと、どっと疲れが出て来た螢一
だった。


みんなのティールームにて、螢一は先程あった件を話した。
例の男の子の本名は、実はバルドと言う。
「本当ですか?螢一さんっ」
「ああ、本当さ・・・だって彼が自分でそう告げたんだから」
「だとすれば・・・ちょっと待っててくださいねっ」
ベルダンディーは急いで玄関先にある電話に向かった。


「もしもし・・・私は1級神2種非限定ベルダンディー・・・あ、
ちょうど良かったわ、ペイオースなのね!」


電話先は、天上界ユグドラシルであった。
そして何やら言い様の無い緊張感が周囲を支配し始めていた。


by belldan Goddess Life.


脱線してた話を元に戻す・・・ちなみに、脱線話は別館に補完。
甘い話(お説教なのに)なので、危険です。