天上界の恋人6.

天上界の恋人6.


どうやらペイオースと繋がったみたいだ。それにしても、ずいぶん
長い電話だな、と螢一は思った。後で詳細を尋ねてみるか。


「元気にしてました?まぁ!そうなの〜」
明るい声が玄関先に響き渡る。
「ええ、きっと螢一さんっも喜ぶと思うわっ」
ちょっと声のトーンが変わった。
「でも、私も負けませんからっ!」
あれ?何だか戦闘態勢に入った模様だ。
「それはそれとして・・・バルドの事なんですが・・・」
お、どうやら本題に突入したみたいだ。


それからしばらくして、ベルダンディーはみんなのティールームに
戻って来た。
「螢一さんっ、バルドの事は天上界でも知らない事だったそうです。
でも、大丈夫。ペイオースがこちらに来てくれるみたいっ!」
楽しそうに話をするベルダンディーだった。
「そ、そうなの・・・」
話を聞いた螢一は、嵐の予感を感じずには居れなかった。
詳細を聞きたかったのだが、怖くて聞けないのも事実だった。


時々、この平凡な日常が実は夢であるのではないだろうか、と
思う時がある。ベルダンディーが降臨して来て以来、普通の日常が
尋常で無くなった事くらいは自覚しているが、それでも普段は、
こうして他愛の無い日々を過ごしているのだが。
それから女神達が降臨して来て、少しだが変わった事がある。
例えば季節の変わり目とか、ささやかな変化を楽しむ余裕が出来て
連綿と続く時が、全てを育んでいるのだと知った時は、何だか無償
に感動したものだ。
平凡の中にこそ、非凡がある。そんな感じ。


「それで・・・バルドって、一体どんな神さまっなの?」
「ええ、それが・・・」
ベルダンディーの話では、バルドは天上界でも屈指の実力者で、
天上界でも一目置かれている存在である、と言う事だった。
「すごいね」
「ええ、ですが・・・」
ちょっと早計な所があって、人の話を最後まで聞かない、と言う。
「え?それって・・・まるで和尚みたいな?」
「そうかも知れません・・・でも・・・」
普段のバルドは、だいたい1を聞いたら、全て把握出来る能力を
持っていると、ベルダンディーは話を続けた。
「それはすごい!さすが神さまっだね」
螢一は感嘆した。
「ですが・・・ちょっと困った事があって・・・」
本来のバルドは、その美しい美貌と高尚な所が多くの女神の心を
捉えて離さないのですが、それが災いしてしまっていると、話を
続けた。
「それって、つまり・・・ナルシストって事なの?」
「そうかも知れません・・・あ、でも悪気はないのです」
「あったら怖いって・・・」
「そう言うモノなのでしょうか・・・」


ナルシストの神さまっ・・・そう言えばペイオースだって、かなりの
ナルシスト振りを発揮していた、と螢一は思った。
天上界って所は、そんな輩がたくさん居るのかな。


「所で、そのナル・・・じゃなくてバルドは何故あんな小さな子供の
姿をして降臨して来たんだろうね」
「それは・・・もしかしたら、何らか術か、或いはフィルターが・・・」
「そうなのか・・・でも、どうしてだろう?」
「それは分かりません・・・」
そんな話をしている最中、廊下でガタリと音がした。
気が付いて廊下の方を見ると、こっそり覗いていたバルドの姿が
あった。


「あら、バルド、起きたのね」
ベルダンディーが声を掛けると、サッと姿を消し、廊下を一目散に
去って行った。
「どうしたのかしら?」
「さぁ?」
ベルダンディーと螢一は、お互いの顔を見詰めて不思議に思った。


by belldan Goddess Life.


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無駄に長い・・・三行位に纏める力が欲しい。

《バルド降臨、色々あって、帰還》 とか。