「義理ホワイトディ」3.劇終

今更感もあるのだが...


異形の格好をしてバイク(モトラ)にまたがり螢一達を追う田宮は
すでに我を忘れているようだった。
「怒りに我を忘れて・・・いる」
振り返って確認した大滝は、そっと呟いた。
大滝をタンデムしている螢一には一計があった。
それはこの二人をまるで小動物のように手玉に取れる御仁の元へと
連れて行く算段だ。
千尋さんなら・・・それに、ベルダンディーもいるし・・・」


ちょうど信号一個分の距離を保ちながら、二台のバイクは
カーチェイスをしながら、何とか目的地であるワールウインドに
辿り着いたのだった。


「もう逃げられないぞ・・・」
異形の邪神の如く仁王立ちした田宮は、そろりそろりと二人に
近づいて行く。
「・・・もはやこれまで・・・」
観念した大滝は天を仰いだ。


「何事なの!」
「まぁ!大滝さんと田宮さん・・・いらっしゃーい」
千尋さんとベルダンディーが、店先の騒動に飛び出して来た。


「ビビビビ・・・ビバンダム?」
「あらぁ?大きなマショマロさんでしょうか?」
千尋さんとベルダンディーのそれぞれの感想であった。
「きっと大きなマショマロなんでしょう」と、螢一は溜息混じりで
田宮を見て述べた。
「・・・何て言うか・・・きっとホワイトディのパロディなんだと」
ヤレヤレといった面持ちで更に告げる螢一だった。


「なにおぅ!断じてパロディではない!真剣だぁ!」
田宮は、どうだ参ったか、と言わんばかりであった。


真剣だからこそ、鬼気迫るものがあるのだが、何だか軸がぶれてる
田宮は、大滝の方を向いて
「実は、この着ぐるみを貴様にプレゼントしようと思って、な」
そう言うと照れ臭そうに顔を赤らめた。
「ププ・・・プレゼントなら、何で着る?」
恐る恐る尋ねてみる大滝に、田宮はこう言った。


「ああ、着心地を確めたかっただけだ」


こうして、いつぞや大滝から漢の義理チョコと称された贈り物への
義理堅いお返しは終わった。
大滝に渡された着ぐるみからは、大量の漢の汗が染み込んでたのは
言うまでもない。


その間、千尋さんはお腹を抱えて笑いっぱなしだった。
ベルダンディーは、とても興味深そうに着ぐるみを見つめて
「へぇ〜可愛いですね〜」と感心しきりだった。


義理ホワイトディ 終了。


by belldan Goddess Life.


*** *** ***


「森里・・・着てみるか?」
「遠慮しときます・・・大滝先輩」