光の輪

螢一達が暮らす他力本願寺の母屋の近くには、たいそう立派な
お社がある。
周りは木々に囲まれていて、朝など朝霧に包まれていて荘厳な
雰囲気の中、静かに鎮守しているようだ。
何を鎮守しているのか、それは多分この地に住まう生きとし生ける
者全ての安らぎなのだろう。
ベルダンディーは時折、その社に赴いては、一頻り礼を述べて
精妙な空気の中、祈りと感謝を捧げている。
北欧と日本では、その宗教性は違うのだが、天上界では全てが
繋がっていると言う訳だ。
異国の地に降り立った女神は、そこで暮らせる事を感謝した。
「こうして螢一さんっと暮らせて行けるのも…」
もちろん天上界の粋な計らいでもあるのだが、それでも思う。
「この国の神々が受け入れてくださったからです…」
ベルダンディーは、この国の過去から現在に至る時の流れを思う。
たくさんの神々が、そしてたくさんの国民が努力して、時には
抗い、時には手を取り合って、歴史と言う織物を作り上げて来た
と言う事を。
「ありがとうございます…」


お社の木々達が風に揺れる。高い空に雲達が足早に流れる。
小鳥達の小さな歌声。かすかに聞こえる水の流れる音。
その中に混じって、声が聴こえる。


このお社のかんなぎの歌う声だ。きっとお社の裏庭を清掃して
いるのだろう。
ベルダンディーは感謝の祈りを終えて、裏庭に回った。
「ここにいらっしゃったんですねっ」
「あら、いらっしゃいませ ベルダンディーさん」
「ステキな歌声、聴こえてきましたもの」
「ありがとうございます」
うふふ、と笑みを浮かべた巫女だった。


ふたりは空を見上げた。
「あんなに雲達が足早に…」
「この国の神々が、集うて行くんです」
「どちらにですか?」
「あちらに…」
雲の行く手を指差して巫女が言う。
国難を払いに、です。
わたくしの敬愛する天照大神が先頭に立って…」
空を見詰めて、ベルダンディーは頷く。
「あの方が…そうですか…」


「あの…私にも祈らせて頂けますか?」
ベルダンディーは巫女を見詰めた。
「それは嬉しい事です。ありがとうございます」
巫女は感謝の辞を述べた。


お社の木々達が風に揺れる。高い空に眩い光が輪になって現れた。


光の輪。


by belldan Goddess Life.


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文明実験は失敗。申し訳ないですが、民主党の方々には
ご退場願います。