7月7日

森里家の面々御一行が、ウルドの母の依頼で魔界へ行っていた頃
他力本願寺の母屋で、帰りを待っていた女神が二人居た。
女神ペイオースと女神リンドであった。
ふたりは各々の仕事があるのだが、現在休止中だと言う訳だ。
「リンド…貴方は任務に復帰しなくて良いのですか?」
母屋の庭で、辺りを散策しながらペイオースはリンドに問う。
「ペイオースこそ、ここで何をしているだ?」
縁側で、待機状態のリンドは、その問いに問いで返した。
体育座りのまま、さらに言及する。
「それにしてもペイオース、どうして君は何時も何時も此処に
来るんだ?」


「そ、それは…」
「好きな者が居る…そんな所なのか」
「な、何を言って!」
「図星か…」
「・・・・・・」
ペイオースはソッポを向いたままだ。


初夏の風が時折吹いて来て庭の木々を揺らして行く。


「あ、貴方こそ…気になる方でも居るのでは?」
「私か?そうだ、森里君の事が気になってな」
「あの方は…」
「そう、私の生涯の友だ」
それがどうかしたのか?とリンドは不思議がる。
リンドは思い返していた。以前の事件、天使を食らう者との対峙の
際に、何の力も持たない人間が、身を挺して我々を護って戦う姿。
あの勇気はどうだろうか!賞賛に値する!共に戦った戦友として
とても誇りに思う。


「生涯の友…ですか…」
ペイオースは、それがハプニングだとは言え、女神を降臨させて
二重の契約を結んでしまった男の事を思い返した。
例えそんな事でも、わたくしの琴線に触れる事をしたのは、森里さん
が初めてでしたわ。ベルダンディーの恋人ではなかったら…いいえ、
それは違いますわね。
あの二人が出会ったからこそ、わたくしも彼に出会えた。


不思議な巡り合わせに、ふと頬が緩むペイオースだった。


「早く戻って来てほしいですわね」
「そうだな」
皆の楽しそうな笑顔と、ベルダンディーの淹れる美味しい紅茶が
待ち遠しい二人であった。


7月7日。


by belldan Goddess Life.


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この良き日に。