未来へ

スクルドは有能な女神さまっだと言う事。


旧式の家電が多い森里家で、日々困らずに家電を使用出来るのも
実は彼女の密かなアップデートが功を奏しているのであった。
半分は彼女の趣味、そして半分は大好きな姉への配慮であった。
時々、上の姉であるウルドに「使えないメカばかり作って」と
揶揄される事もあるが、それでも彼女はメゲないのある。


たまには反論したり、ちょっと落ち込んでみたりするけど。


「いつもありがとうね、スクルド
さり気無く感謝してくれるベルダンディーの言葉は魔法のようだ。
「あれ?何だかサクサク動くよ?」
首を傾げて不思議がる螢一を、そっと襖から覗いてほくそ笑んだり。


そんな日常が好きだと思った。
それがいつか未来へと続いて行くのだと確信しているのだった。


そして、いつか…あの彼とも…


夏の河川敷、そこに一本だけ大きな樹があって、ふたりはそこで
避暑をしていた。
動いて行く影を追いながら、場所を移動する度にシートを動かす。
「よいしょ、っと」
「あ、仙太郎君…そっち持って」
「うん」
他愛ない会話、小さな共同作業に心がほわほわする。


「ボクはねスクルド…将来は宇宙へ行きたいと思うんだ」
「へぇ」
「宇宙で、と言うか他の惑星上で自転車が乗れるのか、とか、それから
宇宙には未来があるような気がするんだ」
「・・・」
「それにね、だって…君は未来の女神さまっなんだろ?だから…その
ボクも未来へ行きたい、なんて」
えへへ、と照れ笑いをする仙太郎であった。


驚いて仙太郎の顔を見るスクルド、それから頬が赤くなり、そっと
視線を下に向けてボソッと呟くのだった。


「…あ、あたし、も…」


太陽も嫉妬するような、ふたりだった。



未来の女神さまっ。


by belldan Goddess Life.