女神さまっの宴 3

取り敢えずここで立ち話をしていても埒が明かないだろうと
ウルドはリンドを自室へと通すのだった。
あのまま裏庭の池の辺で女神三人が姦しく意見を交換した所で
何も進展は望めないだろうし、騒がしさにベルダンディー達が
気が付いて、事が大きくなるとも限らないだろう。


「ああ、池に愛用の斧を落としたままだ・・・オーノー!」
リンドは独り言のように呟いて、ウルドとペイオースをさり気無く
伺うのだが、ふたりは何も反応しない。
・・・やっぱり、まだまだ精進が足りないのだな、私には、とリンドは
がっくりと肩を落とすのだった。


だがウルドはちゃんと気が付いていた。しかし笑えないジョークに
どう反応してよいのか思案に暮れていたのだ。
ふとペイオースを見ると、この暑い夏の最中なのに、両肩を縮めて
寒さに震えていた。
噴出しそうなのを堪えてウルドはリンドに尋ねる。
「ところで通りすがったって、地上に何か問題発生したの?」


快心のギャグを放ったのに、痛恨の無反応を食らったリンドは
実は心が折れそうだったのだが、日頃の鍛錬の成果が此処に来て
彼女の膝を支えていた。
「・・・ん?何の話だ、ウルド?」
動揺を隠すのに精一杯クールな反応を試みるリンドだった。


ウルドは以前TVの再放送とかで放映されていた昔のバラエティ
番組の中で流行っていたセリフを思い出す。
ダメだこりゃ・・・思わず口に出そうになったのを必死で堪えた。
ペイオースに助け舟を出すのだが、肝心のペイオースは今、
ワナワナと肩を震わせている。
多分、いやきっと、ウルドとリンドの遣り取りがツボに入って
しまったのだろう。


ウルドは思った。あたしは2級神だけど、このふたりは1級神なのに
何でこんな所で、面白くもないジョークに翻弄されているのかしら。
いや、ちょっと待って。もしかしたら、これって最高に面白いかも
しれないわね、と状況を角度を変えて反芻してみた。
「問題が無いとすれば・・・そうか、遊びに来たのねっ」
これが多分正解だろうと、ウルドはひとりごちる。


リンドを見ると、なぜか頬を赤く染めていた。


女神たちの宴/もしくは宴会芸の発表会。


by belldan Goddess Life.


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夕日も染まる西の空、すっかり秋らしく・・・なってねえよ!暑いし。