また恋をしてしまった。

失恋をして、また君に恋してしまった。


淡い恋心、予め失われる運命の予感、心の中にぽっかりと
空いた風穴に通り過ぎる風の、なんて心地良いことだろうと
不思議な不思議な感覚に、まるで酔いしれるような我に思う。
きっと悲しみは、その跡に残された伝わらなかった諸々のカケラ。
きっと誰もが愛の本質に疑問を抱き、絶望し、そしてそこから
旅立つ日の事を、ある種の予言として与えられていたんだと。


君の笑顔を護りたいと思った。


そんな単純な事ではないと、心の中に在る小さな私が問いかける。
まるでなぞなぞのような、迷宮の中の小さな私は無垢なる微笑を
私に投げかけているようだと思った。
小さな私は、いつも誰かから愛されていた。
だから簡単に愛とは与えられると信じていた。
そして幾夜時を超えて、朝になり、また夜になる間に、
誰かが私を愛するように、私も誰かを愛しようと思ったのだ。


愛は与えられるものではなく、与えるもの、与えようとするもの。
気が付けば、私の心の中の風穴は、愛によって埋められている。


君の笑顔が、実は本当は、私の心を潤わせていた事に気が付いた。


君の事が好きだ。
だけどそれは、多分、私の心に在った奪うような気持ちのひとつだ。
だが君は…
何も言わず、何も求めずに、ただ相手の思いを汲み取って動くのだ。
それだけで奇跡のようだと感じた。
それを自然に実践する姿はとても、とても感動に値する。


ああ、そうか、だから彼女は君の事を愛しているのだね。
君と彼女の、ともに共有する時間は長い長い時の中、育まれて
ここまで来たんだね。
ああ、だから、私はとても、とても君たちに惹かれてしまうんだ。


本当は君と・・・君たちの、笑顔に護られていたんだと実感した時、
私は、失恋を経験してしまったのだ。


そして同時に、新しい恋の予感を感じてしまったのは
偶然ではないと信じたい。
もしかしたら、それは恋と言うには相応しくないかも知れない。
もしかしたら、それが愛だと言うにも相応しくないかも知れない。
だけど私はとても、とても誇りに思う。


出会えた奇跡に、そして「生涯の友」に。



by belldan Goddess Life.


また恋してしまった。