私の太陽

「螢一さんっは、私の太陽ですっ」


とても暑かった夏の日差しが過ぎて行くと同時に、どこからか
雨雲がその姿を現して来て雨を降らす9月のある日に、彼女は
何時も通りの帰り道で、ふと思う訳だ。
手にしている買い物籠を持ち替えて、左手に傘を持った。
パラパラと雨粒の音が小さな世界を包み込んで行くと、そこだけ
まるで自分の心の中の世界のような気がする。
だから小さくつぶやいてみた。


「螢一さんっは、私の太陽ですっ」


大事な事なので、二度つぶやいてみる。
傘の先から雨粒がポトリと落ちて、道に生えている草の葉を揺らす。
これは私の涙、それとも慈雨の恵みなのかしら。
揺れる葉は私の心、それとも震える恋心なのかしら。
嬉しくって、悲しくって、こんな気持ち、初めて。


初めて、なの。


「螢一さんっは、私の太陽ですっ」


夏に咲いたひまわりの花のような顔でベルダンディーは微笑んだ。



by belldan Goddess Life.


*** *** ***


「・・・何だか恥ずかしい・・・」