ある日の出来事 2.

みんなのティールームで待っていたママは、少し悲しそうだった。
それからあたしの顔を見詰めて「はぁ・・・」と溜息を付いた。


「そこに座りなさい、マリアベル
ママはそう言うと、ちゃぶ台の向かい側を指差した。
ママと差し向かいになる。こう言う時は決まってシリアスな展開に
なるのが相場だった。あれは何時だったろう、こっそり黙って
隠してあったおやつを食べてしまった時だったと思う。
その時もこうしてママと差し向かいになって怒られた。


「今日、何があったのか教えてちょうだい」
ママの真剣な顔は、とてもキレイなんだけど、とても怖い。
もしかしたらパパも、ママのこんな顔を知っているのだろうか、と
マリアベルは思う。多分・・・知らないな、と結論付けた。
「べ、別に・・・何もなかったよ?」
それは本当の事だ。ウソなんて付いてはいない。


「そう?だったら駅前にある、たくさんの自転車が突然消えたのは
どうしてなのかしら?」
ママの語気が強くなったのを感じた。
「あたし・・・知らないもん・・・何もしてない、もん」
本当に何もしていない。ちょっと手伝おうとしたけど、大丈夫って
少年に言われたので、ちゃんと後ろに下がって見てただけだ。
その事をママに伝えると、ママは再び質問をした。
「その時・・・その子を『救いたい』と願わなかった?」


「うん・・・思った」


「それが原因なのね、分かったわ」
ママは居住まいを正して、あたしを直視する。
「よく聞いてほしいの。いいこと?あたなは女神なのよ」
「でも、半分は人間だもん」
「それは分かっているわ、だけどね、あなたの力は膨大なの」
「それはあたしのせいじゃないもん・・・」
「だからこそ大事な事なの!無意識に力を使ってしまうのは、とても
怖い事なのよ。だからね・・・」


「あたし!悪い事なんてしてないっ!ママのばかー!」
何だか悲しくて悔しくて、居た堪れなくなって部屋を飛び出した
マリアベルだった。


あたし、悪い事してない。あたし、困っている人を助けようとして
思っただけだもん。なのにママは・・・


ある日の出来事 2.


by belldan Goddess Life.


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あれ?