2月の朝 欄外変

話は少し変わるのだが・・・


ワールウインドにて、今日の日のイベント、つまり
バレンタインディに相応しい催しをしようと千尋さんは
用意周到だった。
「・・・これが当りで・・・そしてこれがハズレねっ」
意味深な笑みを浮かべて、終始ご機嫌だった。
俺はそれを注意深く横目で見ながら、絶対関わらないように
しようと心に誓ったのは言うまでもない。


「ベルちゃーん、ちょっと手伝ってもらっていい?」
「はぁーい」
千尋さんとベルダンディーは楽しそうに準備をするのだった。



バレンタインディか・・・以前の俺には全く縁の無いイベント。
しかし現在は少し違うか、と昔の自分を思い返して、少しは
成長もあったのかな、と考えた。もらえる相手がいると言う事
それだけで存外な幸福感に包まれるものだ。


だが・・・


そう言えば、感知センサーを作っていたスクルドは、それが
自身へのセンサーだって知らなかったのだろうか。
対魔属センサーの応用で、屋敷の防犯も兼ねて取り付けた訳
だったのだが、住人全てが知る所のセンサーなので、俺と
ベルダンディーが、あんなことやこんなことをしてても
ちゃんとスクルドを感知するのは当たり前なので。


策士策に溺れるってのは、学者には有り勝ちなんだけど、
今回もまさにソレだ。


そんな事はこの際棚に置いといて、その後俺は自室に戻って
レポート製作にとりかかる。
学生の性ってヤツなんだろうが、ついつい・・・
「レポートか・・・何について? って!」
誰かへの愛のレポートって、それってつまり・・・
「恋文じゃないのか! ラララ、ラブレターってヤツ!?」


しかし俺には文才は無い。どう捻っても気の利いた言葉なんぞ
出てくる訳がない。
いざ机に向かったのだが、無いものは無いのである。
いっそ『愛』って文字を、永遠に書き続けて紙を埋めようかと
考えたが、それってただのストーカーじゃないか、と考えを
改めた。
「はぁ・・・」
仰向けに寝転がって天井を仰いで見る。


何にも出てはこない。


2月の朝 欄外変?


by belldan Goddess Life.


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よい子は真似しちゃダメだからね。