如月 仲春 初花月

2月も終わりだな。


ふたりはいつも願っていた
すれ違う時の狭間で思いは
小さな種を育み出していた
時の流れ 季節の彩り
積み重なった想い出は
愛しい夢のカケラたち


そろそろ沈丁花の花の香りが周囲を包む頃だと思う。
まだ寒い朝早く、螢一はひとり起き出して庭へと向かった。
ひっそりと静まり返った佇まいの庭を眺望しながら思う事は
何時だって決まっている。日々のドタバタ、喧騒から離れる
この時間は、とても貴重なものだった。


「如月 仲春 初花月
あと少しで君に初めて出会った季節がやって来る。
君に出会う前の俺は、本当にツイてなかったのかな、と思う。
出会う前の事を思い返して見る。
「ははは…そうかもしれない、ホント優柔不断で…」
苦笑いしか出て来なかった。


でも、


君に出会う前にしてきた全ての事は、決して無駄ではなかった。
例えそれがどんなに苦い経験だったとしてもだ、と螢一は思った。


あれから、いつもふたりは一緒にいて、たくさんの思い出を共有して
そして、これからも…


「一緒に、居たいよな」


鼓動が少し激しくなる。
このドキドキは、春を待つ花達も同じなのかな。
ちょっと照れ臭そうに笑った。



「如月 仲春 初花月


by belldan Goddess Life.


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