September music

お姉さまっの歌は、天界一なんだからっ!」


久しぶりに裏庭で木々に向かって歌を紡いでいたベルダンディー
スクルドと二人でそっと見ていた。と言うか、鑑賞していたんだ。
ベルダンディーの歌声は、それはそれは心が癒されると言うか、
とても崇高な心持になってしまう。
まさに芸術、それも神の芸術なんだと、つくづく思う訳だ。


「でもね…」


スクルドはちょっと深刻な面持ちで、螢一の方を見た。


「本当なら、もっと凄いんだから!」


本当なら、もっと凄いって…


「本当なんだから!今はここ、地上界限定って感じでセーブして
歌っているんだから!」
「へぇ…」
「信じてないでしょう?!」
「いや、その信じる信じないって言う次元ではないんだよな」
「何なの?」
「いや、まったく分からない…」


「分からないって!アンタ、バカなの?死ぬの?」
「いや、そこまで言わなくても…」
思わず立ち上がってしまったスクルドベルダンディーは見付けた。


「あら?スクルドなの?」
「えへへ…お姉さまっ!」
「あら、螢一さんっも…」
「ああ、あはは…」


「そうだわ!」とスクルドベルダンディーの元まで駆け寄ると
「あのね、お姉さまっ、ケーイチに教えてあげてほしいの!」
「あら、何かしら?」
「あのね、あのね…お姉さまっの歌の事なのよ!」
「私の…歌を?」
「そう!」
「螢一さんっ?」


照れ臭そうに螢一もベルダンディーの元へと足を進めると
「うん、君の歌の事、もっと知りたいなって」
何だか、君の事が知りたいって事に直結しているようで、言い難い。


思えば女神さまっ達の歌声は、そのまま法術になるんだしな、と
螢一は思い返していた。
それと何か連動している、そんな感じなのかな。



「歌は、思いそのものです」
ベルダンディーは静かに言葉を続ける。
「そしてその思いは、とても強い言霊なのです」


「言霊…」
「そう、そしてその思いは、本当は時空も次元も超えて響くんです」
「そうなの…」
「ええ、私はただ、そんな思いを歌に託しているだけ」


こんな感じなのかな、と螢一は想像力を駆使した。
『あたしの歌を聞けぇ〜!』と銀河の妖精は叫んだが、そんな感じ
なんだろうか。


「違います、螢一さんっ…」
困惑気味でベルダンディーは螢一を制したが、何故か頬が赤らんで
いる。


母屋のほうからウルドの叫び声が裏庭に響き渡る。
「ちょっと〜みんな〜?どこなの〜?!」


「螢一さんっ、詳しい話は今夜でもいいですか?」
「うん…」
「では、母屋に戻りましょうか」
「はい、お姉さまっ」


その夜、遅くまで螢一の部屋の明かりは消えなかったと言う。


music and goddess.


by belldan Goddess Life.


*** *** ***


芸術の秋…お話は中途半端(泣)