ああっ女神さまっ+

心通わせる事って、とても大切なものだって、それは何時だって
教えられるものなんだ。


大事にしたい、出会う全ての者たちを。


あの頃のあたしって、本当にイヤになる程ワガママ娘だったと思う。
とは言うものの、それでも一応頑張って来たつもりなんだけど。
あたしは1級神になるのを辞めた。もちろん自身で決めた事だ。


気丈に見せようとしていた。



本当の事を言うとね、あの頃、おねえさまっを追って地上界に降りて
とても淋しい思いを抱いていたの。


強がりとか、きっと誰にも見せれないし、分かってもらえないと、
そう思っていた。


あの日、あなたと出会う前まで。



「行って来ます」
「いってらっしゃーい」
いつもの朝、そして恒例の挨拶をして彼は家を出て行く。
今日は大事な日なのだから、早く帰って来てね、と申し添えて。
手早く家事をし、洗濯物を二階のベランダに干し終えて後の、ポッと
空いた時間は、幸せの時間だと思う。
おねえさまっ直伝の紅茶を淹れ、居間のソファでくつろいでいると
突然二階のベランダから激しい音と振動がした。
「なっ何?」
それでもあたしは慌てず、その音と振動をサーチする。
「これは…神属の…もしかして…」


「いったーい!何でよー?!」
「どうして失敗しちゃのかなぁ?」
「わたしってば、ドジっ娘属性? ないない!」
とか、色々大声を出している者がいる。


あたしはため息が出てしまう。
そしてその張本人が、最愛のおねえさまっの愛娘なんだと言う事実に
少し眩暈がするのは、何の試練なんだ?と思う。


「…何をしているの?」
あたしは沈着冷静だ。
もしかしたら少し怒っているようにもみえるかも。
「あ…こんにちは〜おじゃましてまーす…」
えへへ、と苦笑しながら、その張本人は挨拶をした。


「…どうしてベランダから、なの?」
断って置くが、あたしは非常に温厚な女神さまっだ。
「あ、あの…色々試したかったのね、登場するんだったら、
ママのように鏡から、とか…
その、あのね、ちょっと意表をつきたかったんだ!」
これまた照れ笑いしながら、その娘は答えた。


最愛のおねえさまっにとても良く似た容姿は、
女神さまっとしての美貌を備えていて、黙って立っていれば、
その麗しさに天上界、地上界の男性を
虜にしてしまいそうだ。
だが、その性格は…
おねえさまっのダンナの属性を受け継いでいると。


「意表をつくって…アンタ」
「えへへ〜ごめ〜ん」


彼女の名前は、森里マリアベル
あたしの最愛のおねえさまっと、人間である森里螢一の間に生まれた
女神と人間のハーフだ。
両親は現在、訳あって天上界に赴いている。
人間である螢一には一時的に神格が与えらえて、
ふたりは天上界の仕事に従事しているのだった。
まぁ、その事にはあたしがこうして地上界で暮らすのも
原因のひとつ、なんだけどね。


「おひさしぶりですっ!スクルドねえさまっ」
「そうね、あれから…で、みんな元気にしてる?」
「それはもう!パパとママは全開全力でラブラブですよー!」
「ああそう…それはそれは…」


マリアベルは、膝を正して、正式に挨拶をする。
「これからお世話になりますっ 宜しくお願い致しますっ」
「ええ、こちらこそ、よろしくね」
女神と人間のハーフのマリアベルは研修の為、地上界で暮らし、
人間界の色々を見聞するのが目的なのだった。


「それから、ウルドねえさまっも後で行くって言ってました」


え?ちょっとそれって…


「聞いてないわよー!」




ああっ女神さまっ+(プラス)


第二話「波乱の女神降臨?」


by belldan Goddess Life.


*** *** ***


第三話「マリアベル校庭に立つ?」