ある日の千尋さん2

藤見千尋さんは、豪快崩落、竹を割ったような性格だ。
いや、むしろ竹を割る斧かもしれない。
「Oh!ノー!」ではないぞ、決して。
そんな彼女だが、とても優しい女性だ。
どんな獰猛野生に対しても公平に対応するのだった。
 


さて、そんな彼女の後輩で、大学院に通う二人の男子の
事であるが…


「困った」
「おう、今月もまたピンチだな」
彼らの住まう男子寮のとある一室で、男たちは窮していた。
毎朝早朝に新聞配達をし、生計を立てているのだが、
いかんせん生活難は解決していない。
無論、ちゃんと仕事には従事している。
「どうしてこうなった」
「それが解ればこうはならない」


不思議だ、と思う。


早朝の新聞配達には自前の愛用バイクを使う。
手塩にかけた一品だと自負している。
配達用のミニバイクだが、そこいら辺の高性能バイクには
引けを取らない使用だ。
「もしかして、俺たちのバイクが原因じゃ…」
「いや、むしろもっと性能アップしてだな…」


確実に論点は間違ってるのだが、それが彼らだ。


高性能ゆえにハイスピード、むろん制御類に関しても
油断はない、隙もない。
原付バイクがゼエゼエ言っている坂道も余裕で登坂し
急制御にも対応出来る優れものだ。


ゆえに


男たちは危険を省みない。
常にチャレンジ精神をもって相対するのが俺たちだ、と
言わんばかりである。



だから



急カーブにも果敢に飛び込む。
雨の日にはハイドロ現象と戦うと言って猛烈に進む。


結果、得られるのは
無理やり大量に掲載した新聞紙が道路に飛び散る姿と
こけたバイクと、屈強な男の姿だけだ。


そして、その成果は給料に返ってくるのは自然の理だ。


「どうしてこうなった」
「それが分かれば…」


食糧難である。すでに備蓄は底をついた。
あてにしていた後輩は、里帰りだとかでいない。
森里家のベルダンディーさんの美味しいご飯は
夢のまた夢だ。


「アレをやるか…」
「アレか…しかしだな」
そう、しかし空腹には耐えられないのが人間ってやつだ。



そこでふたりはおもむろに小型バイクに飛び乗って
ある場所を目指すのだった。


by belldan Goddess Life.


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思い付きって楽しいよねっ