ある日の千尋さん3

「この娘、女子力ハンパないわー」
あまりのヒマに店内でTVを見てる千尋さんだが、
こう見えても麗しき美貌の持ち主なのだ。
だが圧倒的にその力がバイクに置かれているが
ちょっとした愛嬌だ。愛嬌か?
そうよね、ベルちゃんみたいに…って、でも
あたしはあたしだもんねっ。
コンビニで買ってきたお菓子を食べながら、時間だけが
店の中を進んで行く。


コトリ。


店の裏から音がした。


「何?!」
はっ!まさか…以前、中嶋くんが言っていた輩が
うちの店までをターゲットにしたと言うの!
相手は何人…そう思いながら恐る恐る店の裏を覗くと
大男が背中を丸めて店のバイクを何やらいじっている。
これは窃盗団かっ!と思い。愛用のスパナを片手に
「誰だ!何をしている!」
と大声をかけると、その大男達は、ビクリとして
ゆっくりと彼女の方へと振り返った。


「せ、先輩っ!」
「田宮…それに大滝…」
「これには深い訳が…」
「・・・」


まさか身内、と言うか後輩から犯罪者が出るとは
世も末ね…と落胆する千尋さんだったが
「訳を聞こうじゃない」
手にしていた愛用のスパナをトントンと肩にあて
ふたりを店裏に正座させたのだった。


ふたりは生活費を捻出する為、早朝からバイトをして
精を出していたと言う。真面目に働いていたと。
それなのに生活はままならず、収入は減るばかりで、
毎月毎月食費を捻出するのに四苦八苦していると
情けない顔をして千尋さんに説明した。


「ほう、真面目に働いていた、と」
「へい、姐さん」
「なのに収入は増えないばかりか減る一方だと」
「さいです、姐さん」
「姐さん言うな」
「すいません…あね…先輩」
「それで…とうとう、うちのバイクにも手を…」
「ち、違うんですっ!何かお手伝いできるかと、そう
思って…バイクを磨いていたんですっ」
「ほう?だったら、この付属パーツは何?」
「そ、それは性能向上を図って…」


確かにバイクはきれいに磨かれてある。
それは認めよう。
だが、なんで改造するんだい?このふたりは…?


そこで閃いた。そうだ、ここで女子力発揮するんだ。
何時も通りにやつ等を叱っても、また懲りずに何か
変なコトを仕出かすに違いない。


女子力とは…そう、相手の胃袋を鷲づかみする事だ。
腹を満たせば、やつらのような野獣だって大人しく
なるに違いない、と思い。


「ふむ…要するに腹が減っているんだね」
「さいです、あね…先輩」
「右に同じく…」


「よーし、おめーらの言い分はよーく分かった!
今からそこの弁当屋に行ってカツ丼三人前買って来い」
そう言って三人分の弁当代を渡すと、ふたりは歓喜して
行動を開始するのだった。


by belldan Goddess Life.


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何気に続くね。
それにしてもこの間「劇場版モーレツ宇宙海賊」を鑑賞
実にエンターテイメントな仕上がりで楽しめました。
もうちょっと電子戦とか見たかったなー。