森里家の日常3

大難を小難に、小難を無しに。


まさに時の守護神、幸運の女神さまっの本領発揮と
言う所なのだろう。
「姉さん達、これは私たち夫婦の問題ですからっ」
ベルダンディーの一声に
一蹴された森里家の小姑達は、スゴスゴと
その姿を後にするのだった。


夫婦かぁ…そうなんだよなぁ。


ベルダンディーの毅然とした態度に圧倒された彼は
ますます彼女に惚れたのは言うまでも無いが、でも、
どうして前かがみなのだろう。


前のめり、じゃないのが何ともツライ所だが。


そんな訳で、一難去った所で、また一難ありなのが
現実のツライ所だ。事実は小説より奇なり、とは
良く言ったものだが、ホント現実ってのは、物語とは
違ってあんまりドラマチックじゃないんだな。


さて、次なる問題と言えば…


彼の実家への挨拶って事になる。
しかしそれは卒業し、そして就職し、生計を立てる算段
も将来設計もあっての事だろう。
そんな事をモヤモヤ考えていると、ベルダンディー
「何もかも揃ってないと出来ない、そんな事はないです
螢一さんは勇気ある方ですっ。誰しも始めの一歩は簡単
に踏み込めないものですが、大丈夫ですよ」
と、まるで心を読んだように云って来た。
「そうかな?」
「ええ、私が保証しますっ」
満面の笑みで答えてくれる。


「螢一さんっ、一歩私の所へ」
「こう、かい?」
そう言って彼は彼女へと一歩踏み出す。
「そう、もう少し前へ」
「うん、わかった」


ええ、そうです。すでに彼女の顔が目の前にあります。
近い、近いよっ。そう焦るのも無理ありません。
だって本当に可愛いんだもの。


「ようし!私も螢一さんっを見習って!」
そう言ってベルダンディーは彼へと一歩踏み出すと…


「わっ」
「きゃ」


当然体は触れ合いますし、抱きつく格好になるのも
無理は無く、あえて言われてもらえば自然の理と
言った所でしょう。


「…勇気でました?」
「あ、うん」
「良かった!」


勇気も出たけど、またまた前のめりになりそうだ。
しかしこの状態で前のめりになるのはどうなんだ?


神さまっ、俺にもっと勇気を!と思う螢一だった。



つづく


by belldan Goddess Life.


*** *** ***


笑顔はこぼれるものですよ、と女神は言った。
そして愛はあふれるものだと、思います。