森里家の日常12

う〜ん、これはなかなか…


「…あ・つ・い」
手にしている団扇をさらに扇ぐのだが、これがまた
汗を噴射しているような。
そうだよね、気温はすでに三十度を超えているもんね。
熱湯の中をかき混ぜているような気がする。
「熱湯…かき混ぜる、か」
納豆ならいくらでもかき混ぜてもオーケーだし。
いやむしろ、もっともっと!とかなんとか。


取り合えず、と言うか、猫は家の涼しい場所を知って
いると誰かも言っていたし、うちの猫は縁側の日陰で
じっとしているので、俺も倣うようにしているのだが
どうしてこうして、吊るしてある風鈴もピクリとも
しない。


庭の木々の陰影がくっきりして、その場所を移動せず、
見上げる空は青々として、とても清清しいのだが、
暑いのだ。とても暑いのだ。
大事な事なので、二度言いました。



「螢一さんっ」
そこに清涼感たっぷりの声が届く。
「今日はとても良いお天気ですねっ」
実に軽やかな時候の挨拶と共に。
「麦茶を用意したのですが」
そして実にタイムリーなのであった。


「あ、ありがとうベルダ…って!ええー!」


彼女はとても涼しげな装いをしていた。
うん、ちょっぴりスポーティでもある。
そう、夏に相応しい装いだった。



「水着?」



そう水着だ。海辺やプール等ではごく自然なそれも、
場所を変えると実にアレである。
しかも彼女は、何て言うか…ナイスバディである。
セパレートに分かれた小さな布地はとてもカラフルで
夏にぴったりな一品に間違いない。


ううむこれは…何かのトラップか、それとも孔明の…



「ジジャーン!あたし、参上!」
彼女の妹である所の、姦しい一人が登場した。
見ると彼女も水着だった。サーモンピンクのワンピース
水着は若々しい肢体をさらに際出せていた。


「真打は、あ・た・し〜よねっ」
そして最後に登場したのは、漆黒の堕天使…ではなく、
褐色の肌も眩しい、彼女の姉である。
そして彼女も水着を…あれ?


何やら薄い襦袢をさらりと羽織っているだけの姿だ。
水着っぽいものが見当たらない。



「螢一さんっ、みんなでプールに行きませんか?」


爽やかな笑顔と共にベルダンディーの声が耳に心地よく
響くのは良いが、マジでこの連中と行くのか?



どうやら暑い夏が到来したみたいだ。



 そんな感じの森里家の日常。


by belldan Goddess Life.


*** *** ***


ホント暑いよねー。三十三度とかー!わー!