森里家の日常14

「愛する事が、私達女神の力になるのよっ」



日中の暑さが少し和らぐ午後、西に降りて行く
太陽が「また明日」と告げる頃にはささやかだが
風も出てくる。
みんなと夕餉を囲み、他愛の無い話やTVの話題
そんな儀式のようなルーティンのような時がある。


「あらスクルド、また残したの?」
「…だってあたし、別に食べなくても死なないもん」
「それはそうだけど、好き嫌いは良くないわよ?」
「う〜ん…」


「そうよぅ〜ちゃんと食べないと大きくならないわよ」
「うるさいわねーウルドは黙ってて!」
「へぇ、良いのかしら?あたしやベルダンディーみたい
に大きくならなくても?」
「ううう、うるさいわよ!もう!」
ウルドのばーかばーか、とまるで負け犬の遠吠えのよう
に悪態を付き三女は退散する。


「困ったものねぇ」
「姉さんも言いすぎですっ」
「はいはい、わかったわかった」
やれやれ、と言った風情で長女の退散である。



ふぅ、やれやれ…


でも確かに好き嫌いは良くないよな、と螢一は思う。
ちゃんと食べないと成長もしないしな。
…俺、ちゃんと食べてたし好き嫌いも無かったけど
成長…う〜ん。


「螢一さんっ?」
「いや、ああ…そうだ、ベルダンディーってさ」
好き嫌いってあるの?と螢一は尋ねた。


「好き嫌いですか?」
「うん」
「私、嫌いなものはありませんっ」
「そう、だね…あはは」
だよな、女神さまっだもんな。


「逆にさ、好きなものは?」
「螢一さんっです!」
「あ、あの…食べ物の事なんだけど…」
「あ…私ったら…」
「あはは」
「うふふ」



そんな感じの森里家の日常。


by belldan Goddess Life.


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ほうれん草は大事だ。体にも仕事にもね。