森里家の日常15

風向きが変わった?


お休みの午後、縁側に出来た影の中で森里螢一は
まどろんでいた。
陰影のコントラストが少し緩くなってきたような季節に
そよそよと風が舞い込んで来る。
最近の暑さときたら、なんだろう、殺す気ですか?と
問い質したくもなっていたのだが、今日はどうだろう、
何とも言えない心地良さだな。


螢一は思った。


そう思うと何時の間にか睡魔が耳元で囁くような気が
して、まぁ実際はしてないけど。
そんなこんなで縁側の板張りに体を沿わす様にした。
つまり、横になったと言う按配だ。
目を閉じると風が通り過ぎる時の木々の音とか、遠くで
響くそれが何か分からないが、一定のリズムが心地良く
何時の間にか螢一は眠ってしまった。



「あら?」
あらあらまあまあ!螢一さんったら!


そんなベルダンディーの後ろからひっこり顔を出す
ホーリーベルも、彼女と同じような表情をして
螢一を見詰める。
「!」
「どうしたの?ホーリーベル」
ベルダンディーの耳元であのねあのねをする
「そう、風が…」


ベルダンディーの亜麻色の髪が風にそよいだ。




螢一の部屋からタオルケットを持って来た彼女は
そっと彼にかけようとするのだが、どうしてか
風が邪魔をする。
「いたずらさんねっ」
嗜める様に声に出して
「ちょっと待っててね」
そうお願いした。


可愛い寝顔です。


今度こそ、とタオルケットをかけようとしたその時
螢一が寝返りをうってしまった。
「あら?」
うふふ、ちょっと楽しいです。
ではもう一度、と近寄り膝詰めしたその時
「まあ!」
更に寝返りをして、元に戻った彼の頭部はなぜか
彼女の膝の上に。



後日談。



「ええ、そうよ!あの日は庭中に花が満開だったわ!」
「やれやれ…仲が良いのも程ほどに…と」



そんな森里家の日常。


by belldan Goddess Life.


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残暑お見舞い申し上げます…ってそれも遅いですね。