・・・

「ウ、ウルド姉さまっ! このゲームって…!?」


何度も問い正したが、ウルドは空虚を彷徨っているような虚ろな瞳で
ぼんやりと頷いているばかりであった。
それから思い出しかのようにモニターを見るなり、コントローラーを
手にして、操作を始め出した。
この状況、そしてウルドの変貌は、確かに異質だった。
ウルドはユグドラシルの管理する身、そしてその最高責任者でもある。
その彼女をして、こうも易々と術中に嵌めてしまい虜にするシステムを
構築出来るのは…多分、魔界のトップクラスの魔属位だろうか。


「あの人に聞いて見るしかないか…」
呆けてモニターに釘付けなウルドを尻目に、溜息とも付かない息を漏ら
して、マリアベルは部屋を後にした。
廊下を歩き、みんなのティールームの前に差し掛かった。
相変わらず両親は、バカップルぶりを発揮していた。
母さま…ママに相談しようかしら?そんな思い浮かんだのだが、
これは自分の問題だと心に命じた。
「何よりも、学園のアイドルが掛かっているんだからっ!」





とある街外れの廃墟、元ゲームセンターだった場所がある。
そこには人が触れてはならない人物が住んでいた。
魔界の者…その力は、簡単に小さな街位は破壊できた。だが、その者は
そうしなかった。 それは今でも不思議だが、理由は分かっている。
マリアベルはひとりでその場所へと向かい、薄暗い部屋へと向かった。
マーラー?居るんでしょ?出て来なさいよっ!」
返事は無い。
「分かったわ…3秒だけ待ってあげる。その後は知らないからっ」


「ひとつ」 カウントする。部屋中に散らばった物が破裂して行く。
「ふたつ」 破裂した物が拡散集中を繰り返して、何かに変化する。
「みっつ…」 空間自体が歪んで来始めた…


「わわわっー!待て待てー!待てったらー!」
部屋の隅に鎮座していた棺のような物から、ある人物が顔を出して来た。
「あっ!居た〜!マーラー 見っけ!」
愛くるしい顔をほころばせて、マーラーの元へと駆けていく。
「…んだよ…ったく…子供の来る所じゃないんだぜ?」
頭をポリポリと掻きながらマーラーは、苦々しく吐いた。
「もうマリアベルは、子供じゃないも〜ん」
屈託無く笑いながら、マリアベルは返事をする。


「あのさぁ、ちょっと聞きたい事があるの」
「なんだよっ」
「あのねあのね…マーラー…ウルド姉さまにヘンな事した?」
「された事はあるが…って!何を言わせるんだよっ!」
「そうかぁ…知らないのか…」
マリアベルは、そう言って次の検索先を推考する。



それを見てマーラーは溜息を付いた。
「ホント、女神ってヤツは…似たり寄ったりだな…」
そう、まるで人の話を聞かない...



なぞの転校生 (抜粋 の4)



by belldan Goddess Life.


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さぁ〜みなぎってきたー