2008-01-01から1年間の記事一覧

夏の風景 その2

「螢一さんっ?螢一さ〜ん?」 ベルダンディーが俺を探しているようだ。 「あー裏のバイク置き場に居るよー!」 パタパタとサンダルの音、そして声が近づく。 「あ、ここにいらしてたんですねっ!」 「うん、何か用事かな?」 「いいえ、別に…」 「そう」 「…

夏の風景

「暑い・・・」 俺は、そう、縁側で項垂れていて、そのあまりの 軽装も、誰の目も憚らずにいた。 もしこの姿をスクルドに見られたら 「ちょ、ちょっと!ケーイチ!不潔よっ!」とか 言われそうな気がする。気がするが気にしない。 そんな夏の午後、縁側に吊…

音の調律編 その後

地上界は夏なんだな... リンドはある場所を思い浮かべていた。 ワルキューレ候補生のクロノが帰還し、例の件も 完全に完了した。そして今、彼女はささやかだけど ヴァカンスの時間を手に入れた。 「地上界の時間としては、そう、48時間と少しだ」 まる2日…

夏のカフェで

「あら?ウルド姉さんは?」 また散歩にでも出掛けたのかしら?とベルダンディーは 思った。 山裾にモコモコの入道雲が、空の青とクッキリと輪郭を 隔てた、ある日の午後。 日傘を差して歩くご婦人達、陰影が濃くなる街路とか それは、そのまま夏の風景だ。 …

おかえりなさい

アフタヌーン9月号「ああっ女神さまっ」 音の調律編 これにて完了。って感じで。 幸い、コミックスと連動しているので、最初から 終わりまで読み通せて、とても嬉しかったよ。 結論から言うと、他力本願寺は天上界ユグドラシル の簡易出張所、或いは修行場…

こんにちは螢一さんっ

世界の果て そこが約束の地 必ず来ると 約束をしたのだもの 悠久の時を経て 重なる思いは 出会いと別れ 幾度繰り返して来たのでしょう 小さな願い 大きな夢を描いて空へと 雨上りの虹の その橋を渡るように 風の心地良い日を待って ふわりと翼広げて 舞い上…

さよなら女神さまっ

「ああっ女神さまっ」2次創作を描くにあたって このままモラトリアムを気取って、永遠の時を辿るか 或いは、何らかの決着を付けてしまうか。 その両方を描く必要もあるのかな、と。 そんな訳で、A面、B面と言うか、2通りの物語を構築中 ゲームにあるバッ…

月夜の浜辺

月夜の浜辺 照らされて海面 光りの橋が 架けられたみたい 月を背に君が誘う 「螢一さんっ」 差し出された手 ミルク色の時間 月の影 君の表情が見えないよ。 手をとって立ち上がる 海風に揺れる 君の髪が頬に触れると 感情が伝わって 来るようだ。 「ベルダン…

I want to marry you

とても長い旅路の果て それは多分 思考の海への航海 風を読み 波を感じ 船出した あの夜 俺とバイクと そして 君がいた。 重なる記憶 重なる思い 束ねて追想 束ねて念い 君の笑顔が そこにあり 君の歌声が 響き渡りて 鮮明に未来 照らしてる いくら 願っても…

風が歌う

風が歌う あの高原で 鳥達は その囀りで 後に続く 声躍らせて 生まれいずる 喜びと 悲しみは まるで転調する 音楽そのもの 生かされている 生命の 産声を聴いて 風が歌う 小さな花 小さな羽 螺旋の中 上昇気流 静かに瞳閉じて 傾けよう 鼓動がリズム刻む音が…

Thanks giving days

いつもはお寝坊さんなマリアベルだけど 今日は何故だろう、とても早起きしている。 母屋の縁側の前、お庭に出て、東の空を見詰めて その小さな手を胸に合わせ、そっと瞳を閉じていた。 日中の暑さが和らぐ時間帯、それでも地中に残る熱気は 朝の空気をすぐに…

Photogenic Summer

川面を通り過ぎる風とか 水面に映る 光の花束とか そして君の その横顔に 見蕩れている ボクがいる。 今日は良い日だ。 小さな約束 それがどんな些細な事でも 忘れやしないさ 心のメモリチップに 刻んでいるからね。 ボク達 どんな理由で出会ったんだろう? …

彼女の夏

アクアマリンの生地は荒いコットンで 裾には淡い黄色のひまわりがプリントされていた。 端正なトルソー、肩を露に出したワンピースは そのまま夏の避暑地を連想させた。 彼女がくるりと姿勢を変えると、裾のひまわりも 後から、くるりと着いて来る。 さらり…

雨上がりの空に

湿った風が吹く そして凪ぎ 雨に変わった 見上げる空は 鉛色して 手が届くくらいに 低く垂れ込めていた。 時折雲間から見える透けるような青色から こぼれる光が地表を照らす。 天気雨…でもないか、と、ぼんやりと思考を巡らして 一時の雨宿り、眼前にある花…

Nymphaea(夏の花)

庭の池に 夏の花咲く 朝の日差しが 正午に届く頃 咲いた蓮達 薄桃色の花弁 華やかに開く姿 太陽が 嬉しそうに微笑みかけている そばには睡蓮も 楽しげに ふんわりと芳香 風に舞い踊って 縁側にかけた風鈴 チリンと音を立てた。 私は傍らに居る螢一さんっに、…

彼女の楽しみ方

彼女が歩いたその後に 花が咲くように... 「あら?こんな所に空き缶が…」 そう言ってベルダンディーは、道端に落ちている 空き缶を拾って、近くのゴミ箱へ入れた。 「あらあら、ここにも!」 ひとつふたつと拾い上げては、自販機の脇に設置された 空き缶入れ…

小さなほほえみ

小さなほほえみ ひとつ ふたつとふえて行く時間 あなたの横顔に 目線合う 並んでふたり 歩く小道を 一陣の風 通り過ぎて行った こころに 刻まれて行く想い 幾重にも... この空の上 もっと高く もっと広く 翔るように 愛が包んで行った 色とりどりの銀河の宇…

Music and I

「ああっ女神さまっ」最新話の事で。 所謂「音の調律編」とも言うべき物語は オペレータ三人娘からクロノが降臨して来て ドタバタと展開、進行している訳ですが、これまた 話の筋が見え難い、掴み難い展開だと思いました。 連載ものを追いかけている故の事だ…

雨音

「あっ!冷てぇー!」 うなじに命中した水の一滴は、そのまま背中に 回って来た。 天井を見てみると、ある部分が少し滲んでいる。 「ありゃ、こりゃ…雨漏りか?」 よく考えれば、この母屋も相当古い建物であって 日々のメンテナンスは欠かせない代物だった。…

明日の微笑みに

雨風が窓を叩く音がする、深夜 それからゴウゴウと雨音が響き まるで嵐のようだわ、と思った。 私の傍で眠る 愛しき人の寝顔 どんな夢を見ているのでしょう。 それから私は、滑り込むように 愛しい人の傍らへと身を寄せる。 安らかな寝息が、眠りに誘うから …

Heaven’s Blue

朝に 天上の青 夜に 漆黒の黒 風に そよぐ髪 夢に たゆたう ここに「在れ」と想う その想いは 永久の星 永久の輪廻 永久の夢 Heaven's blue 小さな種子 降りて来て 丸い輪の中に 溶けていく 小さな思い 降り注ぐ大河 丸い波紋の中に 解けていく そこに在ると…

雨の日と想い出と

紅茶の葉がきれてしまったので 買い物へ行く事にしたベルダンディー 午前中の曇天は、日差しを覆いつくして それでも未だ振りそうにない気配を残し 空を覆っていた。 風が凪ぎ、静まり返った庭に紫陽花の花が つまらなそうにしている。 静かだわ、ここまま持…

梅雨

縁側で雨を見ていた。 庭の紫陽花が紫色をして、雨に踊っている。 不規則なリズム、不安定な茎の揺れが不思議な 世界へと誘うかのように。 「はぁ〜たいくつぅ...」 スクルドがため息を漏らすと、眼前が俄かに曇る。 さらに雨がきつく降って来た。 ザァザァ…

皐月の終わりに

去り行く日々は 儚げに 振り向くような 花の残り香 蜃気楼 陽炎 寒暖に身を震わせて 空覆う 曇天に 瞳閉じて 泡沫の世の なんと脆い絆よ 風が吹き 天気雨 予感だけ感じる 考える暇も無い 歪んだ時間に 咲き誇る華 それが何 それが何? それが真実だとでも言…

スクルドの異世界探訪

「だからー!あんたの説明が悪いのよっ!」 「なーに言ってるの!ちゃんと出来ないからって、そんな 言い訳は聞かないわよっ!」 ここは他力本願寺、その隣接する母屋の庭での事。 麗しい女神さまっふたりが、何やら大声で喧嘩を始めた。 あんたの説明が悪い…

どうなるの?

机の引き出しの3番目の奥には、魔物が潜む。 誰にも気取られてはいけない。悟られてはダメだ。 誰も居なくなる時間、俺はそっと確認してみる。 そこに鎮座する異界の者どもよ、案ずるなかれ。 やがて時がみち、下界に召還しようぞ、と。 「なんてね」と螢一…

雑記あれこれ

最近聴く音楽とか 「Perfume」は関連の動画から。 「Carpenters」全般とか「Burt Bacharach」全般。 それらがループして、何でだろうか、お話を書いて ここに掲載しているって言う。 たぶんキーワードは「Pops」なんだろうけど、でも 本人は、何と言うか、何…

未来へ 思い込めて。

寒暖が目まぐるしく変わる日々に 仙太郎とふたり、何となくだけど商店街を歩いて ウインドーショッピングしたり、アイスクリームを 食べたり、まるでデートのようだわって思うと 顔に出ちゃうから、あんまり考えないようにしようっと。 「ねぇ、スクルド?ト…

5月の雨(完)

突然の雷雲、突然の雨に少しの不安はあったけど でも大丈夫、螢一さんっなら大丈夫だと思ってた。 きっとどこかで雨宿りしながら、歌でも歌っていて 突然の出来事を、楽しくすごしているに違いないと。 私は正門に向かい、表通りを見つめてた。 暗転した空、…

雨に謳歌う

「虹だぁ〜」 それは雨上がりの、水と光の屈折から織り成される 現象だと知っている。科学的に少しは理解もあるが それでも今、この状況下で虹を見ると、とても とても感慨深いものがある。 壮大な自然の芸術なのか、それとも天上界からの メッセージなのか…