2010-01-01から1年間の記事一覧

森里家の暑い夏の日。

「暑いわねぇ・・・」 去年、とある事で入手した簡易型プール、所謂空気で膨らませる例の お子ちゃまプールを出して水を入れ、これまた氷塊を入れて、一時の 涼を楽しんでいる女神さまっがいた。その姿、一糸乱れぬ・・・ではなく まったく無防備な姿であった。 全…

映画に行った日。

時々、二人で映画とか観に行ったりもするんだ。 夏の暑い日には、それは最高のご馳走になる空間で二人、まるで 異世界へとトリップするように映画の世界に没頭したりする。 面白い映画も、興味深い映画も、それからとても微妙な作品も 二人だからこそ、それ…

夏の夜の…

ここは某国のとある町にある商店街。 夏休みらしく、日中は子供たちが跋扈していた。 「ねぇねぇマリアベルちゃん?」 「なぁに?カレンちゃん」 暑いと言う理由だけで、買い食いをしている女子中学生 な二人は、スクルドご推薦のアイス屋でキャンディを 食…

葉月

夏本番ともなれば、縁側で避暑している黒猫は 自然に必然に影追いをしているのだった。 日が高く昇れば、そのまま影は小さくなって 居場所の確保が難しくなるのは当然の事だった。 それを何となしに見ていた森里螢一は、一案を 思い付いた。 「確か・・・すだれ…

夏の空へ

夏の高い空 東の空に入道雲 モコモコの大きな雲がひとつ きっとその中には神秘的な城があって きっとその中には魅力的な姫君がいて 笑ったり怒ったりして世界を眺めているんだ 現在(いま)君はどうしてる? その世界の住み心地はどうだい? 俺は見上げた空に…

夏の夜には

賀東 招二氏の新作「ずっと、スタンド・バイ・ミー」が 発売されております。 フルメタルパニックの最終巻とも言うべき物語ですね。 気になります…が、行き付けの書店では売り切れで(苦笑) でもまぁ、この際だから既刊の物語のおさらいでも、と。 それから読…

努力即幸福 その2.

母屋の裏にあるガレージから、庭へと足を運び、縁側に出る。 そこには麗しい女神さまっの、これまた飛び切りの笑顔があった。 「ありがとう、ベルダンディー」 螢一はそう言うと、縁側に腰掛けた。 「あ、ヤベ・・・手を洗わなくちゃ」 自身の掌が、オイル塗れ…

努力即幸福

「継続は、力なり」って言うけど、俺がこれまでやって来た事全て それに当てはまるのかな?と考えていた。 人生はまるで緩やかな放物線を描いて下へと下って行くものだと、 誰かが言っていた。 「そんなものなのかなぁ」 森里螢一は、愛用のスパナをくるりと…

感謝する心。

思い起こせば、こうして雨の中の紫陽花なんて見詰めた事 なかったな。ふたりで相合傘、悪くない。ちょっとおどけて みたりするのは、照れている証拠なんだ。 俺の髪の毛は、湿気にやられて少ししんなりとしてる。 君はどうだい?そう思って君の方を見た。 あ…

悠久の時の中で

どうにも最近創作意欲が枯渇して…。 と言う訳で「ああっ女神さまっ」二次創作はお仕舞いにしようと 思ったのだけど、それも無理があるかなぁと。 唐突なんですが、原作通りの展開では、現在(原作の時間軸)に二人は 出会って、そして愛を静かに育んでいます、…

七夕の夜に

七夕の夜、正確にはその後日になったんだけど、俺は彼女と 縁側で夜空を見ていた。その日、何時になく冷静な自分がいて ひどく客観的に自身の事を思い返そうとしていたのだった。 それが何かは、分からずじまいだったのだけどね。 「螢一さんっ 寒くはないで…

7月7日

森里家の面々御一行が、ウルドの母の依頼で魔界へ行っていた頃 他力本願寺の母屋で、帰りを待っていた女神が二人居た。 女神ペイオースと女神リンドであった。 ふたりは各々の仕事があるのだが、現在休止中だと言う訳だ。 「リンド…貴方は任務に復帰しなくて…

時と場所

この世に時は必要だからね、と彼は言った。 その概念は、或いは当たりであり、また間違いでもあった。 時の守護神は、螺旋の時の狭間で微笑む。 「螢一さんっ 天上界では時の概念なんて無いのですよ」 何時か帰るであろう旅人には、旅行日程が渡されていて …

文月

今まで低く垂れ込めていた雨雲に光差し込んで来ると 灰色から真綿色へと変化して、やがて雲の切れ間から 日差しが現れる。 「天使の梯子って、言うんだよね」 そう確か聞いた。それは以前、どこかで、なんだけど。 光の梯子が、あちらこちらに登場すると、今…

伝えたい事。

何から伝えて行けばいいんだろう。 君のその優しさは、何処から来ているのだろう。 例えば大きな大木のような、どっしりとした構えで 何事にも揺らされない、確りとした意思のような。 君のその燐とした強さは、何処から来ているのだ。 例えば風に揺れる柳の…

光の輪

螢一達が暮らす他力本願寺の母屋の近くには、たいそう立派な お社がある。 周りは木々に囲まれていて、朝など朝霧に包まれていて荘厳な 雰囲気の中、静かに鎮守しているようだ。 何を鎮守しているのか、それは多分この地に住まう生きとし生ける 者全ての安ら…

俺の女神さまっ

「・・・俺は、ベルダンディーの事が大好きだぁ〜〜!!」 誰もいない母屋の、とある部屋で男の叫びが響き渡った。 ウルドは醸造酒の品評会とやらで留守だし、スクルドに至っては 仙太郎君との逢瀬で、随分前に家を後にしていた。 そしてベルダンディーは、猫実…

雨上がり/その笑顔で

この季節は雨ばかりで憂鬱になるわね。 ホント誰かどうにかしてほしいものだわ。 不況?なにそれ食べれるの? デフレスパイラルって、新しいパラソルかしら? 物が安いのは良い事だと思うけど、ブランド物の価値まで 下がるのって、何となく嫌だわよね。 ほ…

相合傘で

小鳥の鳴き声で目覚めた朝、自然に意識が覚醒したような気が した。 不思議な静寂の中で、確かに心だけが鋭敏に捕らえる出来事は いつだってこんな感じなんだ。 今、彼女は朝の献立を完成させて、満足げに笑みを浮かべてる。 そして台所を出て、廊下を歩き、…

6月の雨。

風に乗った雲がやがて緩やかに下降して山肌に触れると 今まで水蒸気だった水達が、その小さな姿を現して行く。 木々に当たる水滴が、やがて地表に降り、地面に中に姿を 消して行く時、周囲には何とも言えない穏やかな空気が漂う。 そしてまた、風はその空気…

水無月

6月の花嫁は幸せになれると言う。 風の中に湿気を含んで、高い空に雲が佇む。 日の光を遮り、影の中に潜んでいるのは あの白い麦藁帽子の乙女達。 やがて来る夏の予感に、小さな胸は震えて だからそっと手を繋いでほしいと思う。 緩やかに下降していく雨雲…

5月の朝に

意外と寒い5月の朝、肩周辺から背中にかけて、少し悪寒がして もう一度掛け布団を被った。朝の日差しは、それに似使わなくて 明るい陽気を窓から差し込んでいると言うのに、何と言う体たらく。 「起きなくちゃ」 でも、あともう少し、もう少しと気持ちはま…

Wanna be free

「ねぇ、あたしが止めに行っても良い?」 それは確か、みんなのティールームで、ベルダンディー達と 夕餉の後の一時を囲んでいた時だと思う。 情報操作されたTVのニュースでも、幾ばくかの真実は語られる。 それをキャッチして、ウルドが言った言葉だ。 「…

天上界と地上界

最近思う事は、現在の日本の政治とかだし... みんしゅとーの、はとピーとか、いっちゃんとかの 悪口言っても、それを選んでしまったのは他でもない 国民なんだから…笑っちゃう。 「大丈夫だと思ったんだよ。以前とは違うって」 「そうそう、ちょっとした気分…

彼女のバイク

薫風そよぐ青空の下、乾いた排気音が山坂道に木霊する。 サイドカーで彼女が、とても心地良さそうに微笑んでいた。 「気持ち良いです〜」 そう言うと彼の方へと笑顔を向ける。 五月のある晴れた日。 彼女の笑顔に笑顔で受け答えして、そしてまた目線を前方へ…

彼のバイク

千尋さんが、BMWのR90のエンジンを見つけて来た。 「森里クンッ!どうする?」 現在、俺の乗っているバイクはBMWのR50ってヤツだが サイドカーにしている為、かなりバイクに負担が掛かっている。 どちらかと言えば非力なエンジンで、マイルドな…

天上界の恋人11.

天上界の恋人11. そんな訳で、小さなバルドを引き取って天上界へと帰還した ペイオースだったのだが・・・ 「えっ?ちょ、ちょっと・・・」 ゲートをくぐり抜け、それまで手を引いていた小さな男の子の姿が みるみる変わって行く。 「ああっペイオース・・・」 そ…

「義理ホワイトディ」3.劇終

今更感もあるのだが... 異形の格好をしてバイク(モトラ)にまたがり螢一達を追う田宮は すでに我を忘れているようだった。 「怒りに我を忘れて・・・いる」 振り返って確認した大滝は、そっと呟いた。 大滝をタンデムしている螢一には一計があった。 それはこの…

音楽の束

言葉じゃ綴れないから歌にした 少しずつ声に出してそして 気が付けば街路で歌を歌っていた 夜空に響けと空に向かい張り上げた声は 風と共にどこへ旅立って行くんだろうか。 きっとどこにも届きはしないのに。 声が枯れて心が折れて歌が届かないのは きっと誰…

前髪に。

君の前髪に 小さなてんとう虫が止まった 風の凪いだ午後 小さく揺れる細い髪に 「あら?」と不思議そうに微笑む君は 俺の方を向いた。 「ちょっと待ってて」そっと伸ばす手に さらりとふれる女神の前髪。 「ふふっ」 「うん、つかまえた」 「わぁ 小さくてか…